「戒厳令」混迷の韓国を金正恩氏はどう見る?「兵士の血で稼いだ金」で北朝鮮は2025年どう動くか
トランプ氏の返り咲きに正恩氏は
2025年1月にはトランプ氏がアメリカの大統領として戻ってくる。 果たして米朝関係に動きはあるのだろうか。 トランプ氏は歴代のアメリカ大統領の中で唯一、米朝首脳会談に応じた大統領だ。 2018年6月にシンガポールで初めて金総書記と向き合い、2019年2月にはベトナム・ハノイで2回目の会談を行った。そして同年6月に板門店(パンムンジョム)で南北の軍事境界戦を越えて金総書記と握手を交わした。 しかし、3回行われた米朝会談は、当初こそ双方が会談の成功に期待感をにじませたものの、非核化とその見返りである制裁解除を巡る主張の隔たりは大きく、交渉は決裂。金総書記は大きなショックを受け、失望したと言われている。 韓国の「統一研究院」チョ・ハンボム首席研究員は「金正恩政権はトランプ政権1期目の時のような下手な交渉はしないだろう。一度(トランプ氏に)やられたことがあるから、北朝鮮も前回よりはるかに準備をするだろう」と話し、事態が早期に動くことはないとみている。 アンドレイ教授も「米朝協議の可能性はあり得る。トランプ氏はハノイで果たせなかったディール(取引)を成し遂げたいという希望を持っている。 しかし、いつできるかわからないし、具体的な条件も今は見えない。その時のアメリカと韓国の関係がどんな状況にあるかにもよるが、今は予測が難しい」と慎重な見方をする。
2025年 北朝鮮はロシアに最大6万人派兵で「一獲千金」
「壊れたATM」を唯一直すことができるトランプ氏の出方が読めない中、北朝鮮はロシアとの関係をさらに深めていくとみられている。 韓国軍の合同参謀本部が12月23日に発表した「最近の北朝鮮軍動向」では、「2025年もロシア支援に政権の力量を集中しなければならない状況」と分析している。 ロシア出身のアンドレイ教授はその理由について「今、北朝鮮がロシアに派兵するのは軍事同盟だからでは全くない。ただ金を稼ぐ、そして軍事技術を得る、そのための作戦だ」とし、2025年はさらにロシアへの派兵を増やすと読んでいる。 アンドレイ教授によると北朝鮮の朝鮮人民軍は100万人程度で、そのうち訓練を受け海外に派兵することができる軍人は30~50万人。北朝鮮内の戦闘準備態勢を維持する兵力を除くと海外に送り出せるのは最大で6万人程度だという。 「今、ウクライナに到着している1万人は実験用部隊。これからもっと多く到着するだろう」 アンドレイ教授は1万人の派兵で北朝鮮がロシアから受け取る報酬は年間2億ドル近いと試算していて、仮に5万人を派兵すると年間10億ドルに上る。北朝鮮が数十年前からこれほど多くの金を短期間に受け取ったことはないといい、「一獲千金」状態だという。 だが、その使い道は――。