文芸春秋 小濱千丈氏「Numberと文藝春秋が動画領域で独自の存在感を追求」
2024年のマーケティングおよびメディア業界は、テクノロジーや市場環境の急速な変化を受け、これまでの慣習や枠組みに頼らない柔軟なアプローチが求められるようになった。7月に発表されたChromeにおけるサードパーティCookie廃止の撤回をはじめ、AI活用が実践フェーズに突入したことでデータドリブンな戦略がさらに重要視されるなど、手法が大きな転換期を迎えたことは明らかだ。 こうしたなか、Digiday Japan恒例の年末年始企画「IN/OUT 2025」では、当メディアとゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブにアンケートを実施。2024年をどのように総括し、2025年に向けてどのような挑戦と成長のビジョンを描いているのか、その想いに迫った。 株式会社文芸春秋で、メディア事業局 常務取締役を務める小濱千丈氏の回答は以下のとおりだ。 ◆ ◆ ◆
──2024年のもっとも大きなトピック・成果は何ですか。
弊社では「CONNECTORS」(Number×au)、「NumberTV」(Number×Lemino)など「Sports Graphic Number」が発信する動画配信が本格化。さらに、「文藝春秋」×「PIVOT」のコラボレーション番組「JAPAN FUTURE DISCUSSION」と動画メディア「文藝春秋PLUS」をスタートし、動画領域での展開が急速に進化しました。雑誌メディアの特徴をベースとしつつ、動画メディアとして独自の存在感を発揮していくための準備が進んだ1年でした。
──2025年に向けて見えてきた課題は何ですか。
Webメディアの収益については、相変わらず厳しい環境が続いています。そのなかで、2024年は不適切な広告表示等の問題についてクオリティメディアコンソーシアムなどの業界団体、さらに行政からも問題解決へ向けて具体的な活動が進展しましたが、まだ有効なムーブメントへと結実しているとはいえません。個々のメディアが成長を目指すためにも、広告主、広告会社、メディアがそれぞれ責任を持って正常化を目指す動きを活性化していく。そしてユーザーの興味関心と利益に資する価値あるコンテンツを提供する、志あるデジタルメディアの自立を確立したいと考えています。
──2025年にチャレンジしたいことを教えてください。
動画配信の強化による新鮮なコンテンツやECを活用したモノ&コトなど、雑誌由来のメディアを起点に新たな体験を提供していきます。2024年12月1日の第100回ラグビー早明戦へ向けてNumber編集のメモリアルブック(ネックウォーマー付き)を特設サイト&国立競技場で販売するなど積極的に体験価値にコミットしていく方向性を打ち出しています。デジタルとリアルの双方でコンテンツを拡張していく取り組みを続けていき、未だ接点のないユーザーに対しても存在感を高めていきたいと考えています。 ・年末年始企画「IN/OUT 2025」の記事一覧
編集部