約84%の隕石の起源を新たに特定 これまでの約6%から大幅に増加
大半の隕石の起源を特定!
研究の結果、いくつもの重大なことがわかりました。まず、小惑星同士が衝突して生じた小さな破片は、長くても数千万年で枯渇してしまうことが分かりました。現在見つかっている、数百万年以内に落下した隕石を説明するには、小惑星同士の衝突が長くても数千万年前に起きる必要があります。 今回の研究でまず焦点を当てたのは、隕石全体の79.4%を占める普通コンドライトです。普通コンドライトは、鉄の量が多い順に「Hコンドライト」「Lコンドライト」「LLコンドライト」に分かれます。LLコンドライトは隕石全体の8.2%しか占めませんが、Hコンドライトは33.4%、Lコンドライトは37.8%と、これだけで隕石全体の71.2%を占めます。 最初のHコンドライトは、衝突年代が500万~800万年前と、やや開きがあることが知られていました。今回の研究で、Hコンドライトは580万年前に衝突を経験した「カリン族」と、760万年前に衝突を経験した「コロニス2族」の2つのどちらかに分類されることが分かりました。年代に開きがあるのは、2つの族で衝突年代が違うためであると考えると説明が付きます。また、カリン族とコロニス2族はどちらもさらに大きなグループである「コロニス族」に属するため、組成が似ていることの説明になります。 次にLコンドライトは、4億7000万年前に大規模な衝突を経験し、4000万年前にもこれより小規模な衝突を経験していると考えられています。これに合致するのは6000個以上もの小惑星が属する最大級の小惑星族「マッサリア族」です。特に4億7000万年前という年代は重要です。地球は約4億6600万年前、大規模な天体衝突によって気候が寒冷化したと見られており、地層からはLコンドライトに関連する物質が見つかっているからです。また4000万年前という年代も、大量のLコンドライトを現代の地球に送り込んでいることと矛盾しません。