西武・隅田知一郎が振り返る1年目に痛感したプロの壁 「打者の弱点を見つけるのが難しい」
隅田の取材を終えたあと、恩師である西日本工業大の武田啓監督にも話を聞いてみた。武田監督に取材の様子を伝えると、「いい意味で何にも変わってないですよ」と笑った。その口ぶりは、どこか誇らしげでもあった。 「大学時代から周りに左右されず、自分を持っている男です。それでいて、人から吸収する柔軟性もあるし、違うと感じたら『僕はこう思います』と言える。プロでもいろんなものを吸収して、マウンド姿に成長を感じますね」 そして、武田監督は思いを込めてこう続けた。 「隅田によく言うんですよ。『16勝くらい勝て』って」 今の隅田の力量と進化スピードを考えると、「16勝」はじつにリアリティのある目標数値に感じられる。 武田監督の期待どおりの成績を収めたその時、隅田は名実ともに日本を代表するにふさわしい左投手になっているはずだ。
菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro