衣装はすべて処分

　それまでの紅白の衣装は自宅で保管していたんだけど、何年か前にそれも全部処分してしまったわ。あんまり過去に執着を持たない方がいいなと思ってね。 　いや、それこそ「記念館を造って飾りましょう」なんて話をいただいたこともあったの。「世田谷のご自宅を模した建物を造りますから、それで町おこしをやらせてください」ってね。でもねぇ……記念館って最初のうちはお客さんが来ても、どんどん客足は遠のいていって、最後は寂れていくケースが多いじゃない。だから全部お断りしたんです。終わったら、終わり。私はそういうタイプなのよ。

「今の紅白は何を基準に歌手を選定しているのかよく分からない」

　もちろん、オファーがあれば、また出演させていただくこともあるかもしれない。別に紅白のことを敵対視しているわけでも恨みがあるわけでもないんだから。でも今の紅白は何を基準に歌手を選定しているのかよく分からない。だから紅白そのものの位置付けもよく分からなくなって「つまらなくなった」なんて言われるんじゃないかしら。 　紅白は、私の思い入れがたっぷり詰まった歌番組なの。それなのに、ファンの方から「最近の紅白は……」なんて言われるのは切ないわよ。お願いだから、しっかりしてちょうだい！　 関連記事【「舞台裏で男性歌手とすれ違っても敵意を丸出しに」　水前寺清子が明かす“バチバチ時代”の紅白歌合戦と、美空ひばりとの“確執”の真相】では、「勝ちにこだわるのが紅白だった」と語り、舞台裏で男性歌手とすれ違っても「にこりともしなかった」という歌手の水前寺清子が、当時の“バチバチ”な紅白の裏側について語っている。

「週刊新潮」2025年1月2・9日号 掲載