「NHKは一銭も出してくれない」美川憲一の“紅白ド派手衣装”は「自腹」だった! 衝撃のお値段を本人が明かす
小林幸子の衣装を見て……
ちょうどその頃よ。さっちゃん(小林幸子)が豪華衣装で紅白のステージに立ち始めたのは。彼女の派手になってきた衣装を見てNHKに「白組では私がやります」って立候補したの。 もともと豪華な衣装は好きだったのよ。74年に7回目の出場をしたとき、カラスの羽根をあしらったタキシードに大きなエメラルドの指輪をつけてステージに立ったの。そしたらある時、かわいがってくださっていた美空ひばりさんに楽屋に呼ばれてね。「憲ちゃん、いいエメラルド買ったんだって? ちょっと見せなさいよ」って。私が指輪を見せたらひばりさんは「あらぁ、私負けたわ」。そんなこともあったから、当時の白組でさっちゃんに太刀打ちできそうなのは私くらいという自負があった。
豪華衣装は自腹だった!
でも、そこからが大変よ。紅白出場が決まるのは、早くたって11月下旬~12月上旬。出場決定の知らせを受けてから1カ月足らずで衣装のデザインと制作をやるんだから、とにかく時間がない。さっちゃんは紅白出場が決まる前から衣装を準備していたらしいけれど、万が一落選したら衣装がパーじゃない。いつだかさっちゃんに「あんた落選したらどうすんのよ」って聞いたら「別の公演で使うからいいのよ」なんて言ってたけどね。 衣装代はもちろん全てこちら持ちよ。NHKは一銭も出してくれない。いくらかかったかって? そりゃ宝石をちりばめたりしていたから、億を超えることも珍しくなかったわ。でも、あの衣装代がNHK持ちだったら「豪華衣装対決」も盛り上がらなかったでしょうね。NHKの予算内であんな派手なデザインができるとは思えないもの。自腹だったからこそ、どこまでも派手さがエスカレートしていった。だって、宙づりとかイリュージョンとか、曲と全然関係ない演出ばかりだったじゃない。 衣装代の負担は馬鹿にならなかったけれど、紅白のおかげで営業のギャランティーも上がっていたからね。あの頃は年間250日くらいステージに立っていたけれど、ワンステージ1000万円の依頼でもスケジュールが取れないことが珍しくなかった。