連覇、そしてW杯出場へ。「約2年3カ月の集大成を」木暮賢一郎監督が語るメンバー選考理由とアジアカップへの思い。|フットサル日本代表
いよいよ、4月17日からフットサルアジアカップ2024が開幕する。今大会は、9月に行われるFIFAフットサルワールドカップ2024の予選も兼ねた重要な大会だ。 2022年に行われた前回大会で8年ぶりにアジア王者に輝いた日本は、W杯への出場権獲得と大会連覇を目指して、開催地・バンコクでの戦いに挑む。 3月28日、アジアカップに参戦する14名が発表され、木暮賢一郎監督が記者会見を実施。メンバー選考やアジアカップへの思いを語った。
最適なグループのバランスを考えて選んだ
■木暮賢一郎監督 我々にとって非常に重要な大会が待っていますので、こうしてみなさまの前でお話しできること、そしてここから始まる活動を楽しみにしています。 代表監督に就任してから約2年3カ月、活動してきました。その間、50人近くの選手を招集して、35試合ほど行ってきた活動の一つの集大成として重要な大会に臨みたいと思っています。 ──2月のポルトガル遠征からの変更もありますが、今回のアジアカップに臨むメンバー選考の狙いをお聞かせください。 いろんな選手と様々な取り組みをして、対戦相手に応じた課題や必要なことを吸収しながらここまできました。そのなかで、最適なグループのバランスを考えて選びました。我々が求めている、個人として、チームとしての要求やタスクはありますが、選手それぞれがもっている特徴や良さを踏まえ、バランス良く14名を選出できました。 常々お話しをしていますが、このアジアカップはFIFAデイズの期間外となるため、その関係でリストの土台に上がることが難しい選手も何名かいます。 そもそもリストにいない選手もいますが、様々なトライをしてきたなかでバランスを考えています。どの相手と戦ってもバランス良く持ち味を出せるということと、グループのために仕事をしてくれること。素晴らしい14名の選手を選出できました。 ──その「バランス」ということでは、具体的にどんなポイントがありますか? 大会はファイナルまで6試合ありますから、攻撃面ではセットやグループの組み合わせ、選手の特徴を生かし、バリエーションを増やす選手がいること。守備では、相手の特徴やピヴォとしっかりと対抗できること、それに前からのアグレッシブなプレス。攻守において足を使え、スピードでイニシアティブをにぎることを考えています。 ──先ほど、FIFAデイズのお話がありました。海外組の選手では、逸見勝利ラファエル、内田隼太、原田快などが入っていません。FIFAデイズの兼ね合いでクラブの了承を得られなかった選手など、話せる範囲で教えてください。 隠すことはありません。AFCの登録上、25名のラージリストがあり、14名が登録されます。ただ誤解してほしくないのは「呼びたい」よりも「出せない」ということです。 呼びたかったけど呼べないということではなく、そもそも呼べる状況にないという伝え方が近い。国内組や怪我などを含め、リストを作成する段階の交渉で、逸見と原田の所属クラブはFIFAデイズのみしか出せない事情があります。FIFAデイズは、4月6日~17日まで。日本の初戦が18日ですから、呼ぶ、呼ばないという状況ではありませんでした。 逸見と内田は怪我をしていましたが、今は回復して復帰し、先日の試合にも出ています。ただ、代表チームとして招集する土台に上がらないということです。 内田については、合流できるタイミングにおいて、こちらが求めているタイムラインとクラブが出してもいいという日程の交渉で難しい部分がありました。 それぞれ年齢も、置かれているクラブの状況もカテゴリーも違いますが、総じて、我々が希望するものとマッチしなかった。大きな要因はAFCがFIFAデイズ外であることです。 昨年から(クラブとの交渉をスムーズにする関係構築の意味を含めた欧州行脚で)スペインにも行っていますし、長い間、理解を求めてきました。ただ私もクラブの監督をしていましたので事情は理解できますし、欧州に出向いた昨年8月と半年後の現在とでは、シーズン終盤のチーム状況も違いますから、致し方ない部分ではあります。 もちろん、全員がFIFAデイズにはまらなかった、ということではありません。選考する上で14名に入れなかった選手もいれば、物理的に厳しいという選手もいました。 ──木暮監督としては、アジアカップをFIFAデイズでやってほしい? それはもう(その通りです)。ただし、呼べないことをネガティブに受け取ってはいません。常に、その時に選ぶ14名がベストです。怪我もあればクラブ事情もある。ですから「一番呼びたかったメンバーではない」とは思いません。今がベストです。 それでも、選出段階での競争原理、より精密にジャッジして選考するという視点で言えば、FIFAデイズ内であれば「土台に乗らない」ということは起こらず、そのほうが望ましいものです。スペインも2部になると違うので様々な点で改善を願っています。 ──新井裕生選手がピヴォで選ばれていることもあり、左利きのアラでアジアカップ経験者がいません。ポルトガル遠征では、守備面でのエラーもありました。左利きのピヴォである彼に求めることは? バランスを考えて、3人のピヴォがいます。それぞれ異なるタイプの選手を要することができるのはメリットです。新井は左利きであり、そして、アラもピヴォもできる。なおかつ、リーグで結果を出しているように「ゴール」をもっている。我々の攻撃のオプションを増やしていく視点で非常に必要だと感じています。 前回のポルトガル遠征が久しぶりの招集でしたが、非常にアダプトも早かった。世界トップの国との対戦でしたから、どの選手でも細かなエラーはあると思います。それ以上にチームへの融合、戦術理解の融合、そのなかで可能性を感じるプレーを見せてくれたことを踏まえ、評価しての選出です。 左利きでは、全員が初めてのアジアカップです。どの選手にどんなことがあっても新しく入る選手は同等レベルかそれ以上になる競争を求めています。この2年3カ月で多くの左利きを選んできたなか、今の時点でバランスの取れた左利き選手がラインナップしました。