連覇、そしてW杯出場へ。「約2年3カ月の集大成を」木暮賢一郎監督が語るメンバー選考理由とアジアカップへの思い。|フットサル日本代表
育成を大事に、さらなる成長を遂げていきたい
──今回は4名のサポートメンバーも国内合宿に参加しますが、選考の狙いを教えてください。 日本フットサルをより良いものにしていくためにも、育成を非常に重視してきました。常に若い選手が入って彼らが刺激を受け、今いる選手を大きく飛び越えていくようなサイクルを絶やさず、継続していくことが大事だと考えています。 前回のアジアカップでも2人の若い選手(井戸孔晟、宮川泰生)を連れていきました。今回はワールドカップ予選を兼ねていますし、現地に連れていくことも考えましたが、多くの選手と共に練習し、過ごす時間など、国内で一緒にトレーニングすることがいいと思い、一週間ですが、寝食を共にし、全ての活動を行ってもらおうと思っています。 招集の背景としては、U-19以下の選手であることと、育成年代の代表で我々とともにプレーした経験のある選手であること。ポジションバランスでも左利きのアラ、フィクソ・アラ、ピヴォと、一つのセットとして活動できることを考えています。 加えて、Fリーグのトップチームに帯同したり、ベンチや試合に出ていたりする選手を基準として設けています。伊集(龍二)と柴山(圭吾)は2022年に行われたクロアチアでの大会「Futsal Week U19 Summer Cup – Porec 2022」でU-19代表として出場しています。 私は先日までスペインで開催されたカンファレンスに出席し、各国の代表監督や育成年代の監督とディスカッションしたのですが、そこでも日本への良いイメージを伝えられましたし、クロアチアの大会は今でも評価を受けています。その大会でもいいパフォーマンスを示していた選手たちの経験を引き上げていきたいと考えています。 青島(竣平)と羽生(恒平)はさらに若い選手です。昨年のトレセンのメンバーでもありますし、オーシャンカップでもU-19フットサル日本選抜として共に出場し、彼らはトップチームでも出番をえています。(青島、羽生がそうであるように)左利きはどのカテゴリーでも継続的にいることが理想なので、年齢は若いですが、彼らの年代の選手にも刺激を与えたいと思っています。 全体的な観点としても、我々が今だけではなく、常に若い選手をピックアップしてきているメッセージを、日本のフットサル界に届けたいと考えています。育成を大事にしていますし、さらなる成長を遂げていきたいという思いも含まれているものです。 ──羽生や青島が、上の世代の代表で継続的に一緒にやる意義について教えてください。 2つあります。一つは、若い世代の選手が、代表のトップの選手と共に過ごすことで彼らのマインドを強く引き上げ、大きな刺激を感じ、新しいサイクルに入るタイミングで、自分たちの努力によって蒔いてきた種の花を咲かせてほしい。彼らは育成年代でもいいプレーをしてきていますし、この一週間、精神的にも耐えられるだろうと加味して選んでいます。 もう一つは、日本全体へのメッセージです。フットサルにおいて、若い選手に大きな夢や目標を強くもってほしい。もちろん、代表選手になるだけが目標ではないとは思います。Fリーグでプレーすること、チームスポーツで成長するなど様々だと思います。 ですが競技スポーツである以上、代表やW杯、フットサルにはまだないですが五輪があるならそこへの目標が当たり前にあるものです。同年代の選手を見ることで、どこで誰が見ているかわからないし、チャンスがある、と。 直接、メンバーに入るだけでなく、同年代の選手にも機会があること、自分のほうがもっとできるという意欲。それに、多くの育成年代の指導者の方々のおかげで引き上げられている感謝があります。そうしたメッセージでもあります。より素晴らしい選手を育てるエネルギーに変えてもらえるようなメッセージとしてポジティブに受け取ってほしい。 それとは真逆の発想で、(ピレス・)イゴールのように「15番目の選手」もいます。大会には出場しなくても、(現地に帯同して)力を貸してほしいですし、予選もチーム力が試されるなかで、彼の人望や経験、情熱が、間違いなく、全ての選手に大きな影響を与えると確信しています。 僕より年齢が一つ下で、若い選手の育成と言っている軸とは真逆ですけど、若い選手もイゴールの取り組む姿勢などを学びに変えてほしい。我々のチームにおける大きな役割を担ってほしい意図を彼も理解し、参加してもらっていることもお伝えしたいと思います。