【5番勝負】ホンダEクラッチ vs ヤマハY-AMTを比較試乗! 制御が巧みなのは? 乗っていて楽なのはどっち?【インプレ】
そして一般的にそんなことをする場面はほとんど訪れないだろうが、バイクメディアの仕事ではわりと多くあるシーン、つまりトランポへの積み込みではいくらか緊張感を伴うことになる。歩く速度よりも遅く車両を前進させつつ、任意のタイミングで駆動力を切ることができないので難易度が少し高く、ラダーレールの強固な固定も必須だ。 とはいえ、FJR1300ASが搭載していた初期の頃のYCC-S(ヤマハ電子制御シフト=Y-AMTのご先祖様)に比べればだいぶマシであり、MT-09の車両自体が軽いこともあって「積み込みは怖いからなるべく避けたいです……」というほどではない。 一方のEクラッチに関しては、一般的なMT仕様のモデルと同じ安心感だ。クラッチ操作をマシン任せにしても半クラッチの操作は優しく、今回の車両に関しては低速トルクが強すぎることもないので、スロットルをわずかに開けながらリヤブレーキで速度調整すれば低速ターンは全く普通に走ることができる。 ──極低速では手動操作できるEクラッチのほうがライダーの意図した通りになるので扱いやすく感じる。それは四半世紀以上にわたってクラッチ操作を必要とする車両を乗り継いできたライダーゆえかもしれず、Eクラッチ育ちの若いライダーはまた違う感じ方になるかも? ※写真はクローズドコースでの試乗会のもの また、ステアリングフルロックのUターンなどは、自動クラッチのままでも難易度は低めだが、いざとなれば手動で操作してしまえるので安心だ。クラッチレバーを握れば即座に手動モードに移行することもあり、極低速ターンではついつい最初から普段のように手動操作してしまった。 なお、トランポへの積み込みでは普通のMT仕様のマシンと同じように扱えるため不安なし。
【結論その2】
低速トルクが豊かで扱いやすいエンジン特性、そして排気量を考えればかなり軽量な車重もあいまってか、MT-09 Y-AMTが大健闘したものの、いつでも手動操作で介入できるEクラッチに軍配。ただし自動クラッチのシーンのみで比較するなら、Eクラッチは半クラッチを使用する回転域がやや高めになり、アイドリング付近の低回転を使えるY-AMTのほうが好ましく感じる方もいるだろう。