【5番勝負】ホンダEクラッチ vs ヤマハY-AMTを比較試乗! 制御が巧みなのは? 乗っていて楽なのはどっち?【インプレ】
【その1】自動クラッチ制御が上手なのはどっち?
EクラッチとY-AMTのどちらも自動制御を導入しているのはクラッチ操作だ。いずれも発進~シフト操作~停止に至るまで完全なマシン任せの自動クラッチ操作が可能なので、その出来栄えを比較してみたい。 これは両メーカーの考え方の違いが顕著に出る結果となった。とにかくスムーズなクラッチ操作を実現しているのはホンダEクラッチで、特定のイレギュラーな場面以外で違和感を覚えることはほぼない。 これに対するヤマハのY-AMTはギヤシフトのダイレクト感を重視している傾向のようで、フィーリングはけっこうソリッド。ある程度快走できるペースだとスポーツしている実感が強く味わえる。 ──Eクラッチは、クラッチの繋がりかけたところからスロットルを開けると半クラッチのまま少し回転が上がり、違和感なく巧みに繋げてくれる。
もう少し詳しく見ていくと、Eクラッチは発進時の半クラッチがスロットル開度によって長くなったり短くなったりし、大きく開けると3000rpmまで半クラッチを持続、少ない開度では2000rpm足らずでクラッチが完全に繋がるようになっている。搭載車種が4気筒650ccのCB650R/CBR650Rということもあってか、素早い発進を狙うと低速トルクを補うために半クラッチを多めに使うような印象だ。とはいえ一般的なライダーが操作するのとクラッチ板の消耗は変わらないというから、耐久性の心配は無用である。 印象的なのはシフト操作をしたときだ。クイックシフターを装備しているのでスロットル開度をキープしたままシフトアップできるのだが、ここでごく短い半クラッチ操作が介入することでギヤ比の差を巧みに逃がしてくれる。シフトフィーリングはとても滑らか、かつ素早い。回転域を問わず、またどのような場面でも正確無比かつスムーズなシフトアップが行われるわけだ。唯一、発進からクラッチが繋がりきる前にシフトアップした場合にのみ、一瞬だけ思ったよりも回転が上がってしまうこともあったが、それも音だけであり、ライダーに何らかのショックが伝わることはない。 また、CB650R/CBR650Rは電子制御スロットルを装備していないにもかかわらず、Eクラッチの制御によりスロットル全閉のままシフトダウンも可能。ごく短い半クラッチでシフトショックを逃がしてくれる。以前にクローズドコースでテストしたとき、かなり強めにブレーキングしながら高回転でシフトダウンすると、さすがにリヤタイヤからスキッド音がすることもあったが、それで挙動が乱れるほどでもない。 スロットルの開閉にかかわらずいつでもシフト操作ができ、クイックかつ滑らかなギヤシフトを可能にしているのがEクラッチだ。 対するY-AMTはというと、低速トルクが豊かなMT-09に搭載していることもあってか、かなり低い回転でクラッチが繋がってくれる。半クラッチ操作も短めだが、発進はEクラッチに負けずスムーズだ。 ──MT-09 Y-AMTは、豊かな低速トルクによる瞬発力を生かした発進もスムーズなゆっくり発進も思いのままだ。