戦後最悪の「結婚氷河期」到来――企業情報のプロが読み解く「4人に1人がマッチングアプリで結婚する」最新婚活事情と、“結婚相談所”の倒産が相次ぐ理由
婚姻数は“戦後最低”に
厚生労働省が2月27日に公表した人口動態統計(速報値)を巡っては、2023年の年間出生数が過去最少の75万人だったことが大きく報じられた。同時に、年間婚姻数も48万9281組と実に90年ぶりに50万組を割り込み、戦後最低を記録。「結婚氷河期」が到来していることが明らかとなった。 【写真】グラフを見ると一目瞭然! 学生時代の<同級生や先輩・後輩>と結ばれるよりも、<マッチングアプリ婚>の方がはるかに多かった そうした状況下で、<結婚相談所の倒産が相次いでいる>とのレポートを発表したのは、国内最大級の企業情報データベースを有する株式会社帝国データバンク。様々な業界の情報を収集・分析している同社の藤井俊情報統括部長に、ニュースの裏側を分かりやすく解説してもらう。 ***
――つい最近も、「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)の結婚相談所を舞台にした婚活特集が話題を集めました。一方で、実はいま結婚相談所の倒産が急増しているというのは本当ですか? 藤井部長(以下同):「そうですね。2023年の結婚相談所の倒産は11件を数え、過去最多を記録しました。休廃業・解散となった件数も含めると、年間で20件を超える業者が市場から姿を消したことになります」 ――そこにはどのような背景があるのでしょうか。 「まずは社会全体のライフスタイルの変化が大きく影響しているように思います。具体的には少子高齢化や晩婚化などです。また、生涯未婚率が年々上昇していることから、“そもそも結婚しなくても構わない”と考える人も間違いなく増えている。それに加えて、業界特有の問題も影を落としています。結婚相談所を運営するには、会員獲得や婚活イベントの告知などで多額の広告費や運営費が必要ですが、基本的なサービス内容で差別化を図るのは難しい。また、入会金や登録料などで同業他社との価格競争が生じやすい面もあります」 ――様々なマイナスの事情が重なって倒産が相次いだわけですね。 「はい。結婚相談所の関係者に聞くと、やはり内情は相当厳しいようです。上司から言われるのは、入会希望者が来たら決して手放さずに成婚まで持ち込め、と。以前に比べるとかなり厳しいノルマを課され、それこそ“来月末までに(縁談を)まとめろ”と指示されることもあるとか。結婚相談所には入会金や会費のほかに、結婚が決まって退会する際に生じる成婚料があり、スタッフは成婚数に応じてインセンティブ(出来高給)を手にします。そのせいもあって強引な手法によって、結果的に返金トラブルや会員離れにつながるケースもあるように思います。さらに、結婚相談所が苦戦を強いられる決定的な要因になったのは、マッチングアプリの爆発的な普及に他なりません」