「よりよい世界を見るため」のアイウエア、スペイン発パラフィナCEOインタビュー
連載《SDGsの今》
SDGs(持続可能な開発目標)をめぐるファッション界・ラグジュアリー界の最前線をご紹介する連載企画。本記事では、2014年に設立したスペイン発のアイウエアブランド、「PARAFINA(パラフィナ)」に着目する。 【写真を見る】レディース、メンズ、キッズまで多彩なラインアップがそろうパラフィナのサングラスコレクション。廃棄物を再利用したリサイクル素材から作られているとは、その華やかなルックスからとても想像できない 廃棄物を価値あるものへとアップサイクルさせながらサステナビリティー(持続可能性)と本気で向き合う、ものづくりの神髄に触れよう。 主な原材料は捨てられたプラスチックにアルミ缶、タイヤ。リサイクル素材と持続可能なオーガニック素材を用いて、高品質でデザイン性に優れ、手ごろな価格帯のアイウエアを作る。エコフレンドリーでファッショナブル。パラフィナの取り組みは、そんな単純な枕詞(まくらことば)では、とても言い表せない。 2019年には、環境や社会に配慮した公益性の高い企業であることを示す国際認証「B Corp(Bコープ)」を、スペインのアイウエアブランドとして初めて取得。さらに3年後の2022年7月には、世界のBコープ企業の中で、(認証取得にかかわるアセスメントでの)ソーシャル部門のスコアが上位5%の高水準に入ると認定された。 本国スペインでは既に存在感を発揮しているパラフィナ。メガネやサングラスという日常的なアイテムを通じて地球にポジティブな影響を与えるパイオニアとして、文字通り堅実に前進してきた。 日本ではほとんど知られていないイノベーティブな挑戦の道のりを、パラフィナ最高経営責任者(CEO)兼共同経営者を務める社会起業家、サミュエル・ソリア・サントスさんに聞いた。
■「社会を変えたい」 金融業界から社会起業家へ
《パラフィナCEO兼共同経営者、サミュエル・ソリア・サントスさん》 スペイン・マドリードのCEUサン・パブロ大学とフランス・パリのエコール・ド・マネジメント・レオナール・ド・ヴィンチで経営学を学んだ後、金融分野のさまざまな企業でアナリストやファンドマネージャーとしてキャリアを積む。2009年より世界一と称される起業家教育を誇る米国のバブソン大学経営大学院でファイナンスを専攻し、2011年にMBA修了。前職は、スペインのビルバオに本社を持つ銀行グループBBVAのプライベートバンキングアドバイザー。2014年より現職 ──パラフィナの設立に至ったきっかけを教えてください。 サミュエルさん(以下敬称略) 幼い頃から、動植物に囲まれて田舎で過ごすことや自然が大好きでした。環境工学を学ぶことを考えた時期もありましたが、最終的には経済学の道へ進み、スペインの銀行で働き始めました。 やがて、環境的インパクトを持ちつつも社会貢献型のブランドを立ち上げたいと強く思うようになったのです。学生時代にマドリードやルルドでボランティア活動をしていたこと、米バブソン大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得する前に数カ月間の国際ボランティア活動をし、パラグアイの学校などで過ごした経験も、起業への決意に影響しているでしょう。 リサーチを進める中で、オプティカル業界(opticalは英語で「視力を助ける」などの意味)においてサステナブル(持続可能)な製品があまり発展していない状況に気づき、ちょうど今から10年前にアイウエアという未知の分野に飛び込んだわけです。