2000年前の無傷の墓を『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の舞台で発見! 12体の遺骨と副葬品も
遺跡ファンなら誰もが知るヨルダン・ペトラ遺跡の宝物殿(エル・カズネ)の地下から、2000年前のものと思われる12体の遺骨と副葬品を含む無傷の墓が出土した。アメリカン・センター・リサーチのエグゼクティブ・ディレクター、ピアース・ポール・クリースマン率いるチームが発見した。 ペトラ遺跡は紀元前4世紀から2世紀にかけて、この地域に暮らしていたナバタイ人が首都として建設した。宝物殿は、ペトラにおける最も精緻な建築物の1つだ。紀元前1世紀から紀元後2世紀の間にその原型が造られたとされており、巨大な砂岩を削って作られたファサードと呼ばれる正面部分は高さ40メートル、横幅28メートルにもなる。 世界的にペトラ遺跡の名が知られるようになったのは、スティーブン・スピルバーグが監督し、ハリソン・フォードが主演した映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)のロケ地となったことが大きい。中でも宝物殿は、劇中の最も象徴的なシーンの1つである、主人公ジョーンズと彼の父親が聖杯を発見する場面で登場している。 考古学者たちは2003年の時点で宝物殿の周囲に墓があることを把握していたが、難航する許可取りと資金不足により、その先を完全に調査することはできなかった。だが今年、スコットランドのセント・アンドルーズ大学の地球物理学者で教授のリチャード・ベイツが、強力な地中探査レーダーを使用する許可を得たことで、調査が大きく進展した。 ベイツらが2003年に発見された該当場所を調べたところ、その真向かいに12体の人間の骨格と多数の貴重な副葬品を含む、手つかずの墓が見つかったという。その後、ピアース・ポール・クリースマンが率いるチームが発掘調査を行い、8月には、12体の人間の完全な骨格や鉄器、青銅器が発掘された。繊維類は、この地域の湿度や洪水などの影響で腐食していた。また、墓を仕切る壁の構造的特徴は古代都市の他の場所では見られないものであり、「驚くべき発見」だという。調査には撮影クルーも参加し、10月16日、ディスカバリーチャンネルの「Expedition Unknown」で放送された。 ベイツは、「ペトラと宝物殿のエリアには、まだ開かれていない空洞がほかにもあります」と語り、さらなる発見に意欲を燃やす。クリースマンも、「私たちは今後も協力してこの作業を続けていくと確信しています。学ぶべきことはまだたくさんあります」と発掘の継続を期待した。
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