ゼレンスキー氏「ミサイルが自ら語るだろう」…米の長射程弾の承認報道受け、ロシアは反発し対抗措置へ
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バイデン氏の方針転換は来年1月のトランプ次期大統領の就任も意識しているとみられる。トランプ氏は侵略の早期終結を主張するが、具体的方法を明らかにしておらず、軍事支援が継続されるかどうかを巡っても不確実性が増している。
ウクライナにとってトランプ次期政権の発足時にクルスク州で足場を固めている戦略的メリットは大きい。
「米国第一」のトランプ氏がウクライナへの軍事支援を削減し、ウクライナに不利な形で和平に持ち込もうとしても、交渉材料にできるためだ。
長射程兵器の使用容認だけで、全体の戦況は変えられないものの、露側のクルスク州奪還を抑止できる可能性が高まる。ロシアがクルスク州奪還に成功すれば、ウクライナはロシアと交換できる領土をほとんど持たなくなる。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ATACMSの攻撃を容認すれば、ロシアの工作員による米欧の軍や民間の施設を狙った放火や破壊活動が起こるとの情報機関の分析もあったとされる。バイデン政権はそうしたリスクを考慮に入れても、将来の和平交渉でウクライナが優位に立てるよう支援することが最重要と判断したとみられる。