「人生における考え方や優先順位が嫌でも変わった」ウクライナの人たち。戦争中にもかかわらず、女性が再びオシャレをし始めた理由とは?
2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。今なお戦争は続き、ウクライナの多くの人々が生活を脅かされています。そのようななか「今のウクライナの姿だけでなく、本来の美しく豊かなウクライナの大地、そこで自由に生きるの人々の姿も日本の人に知っていただけるとうれしいです」と語るのは、ウクライナ出身で、日本で活動する数少ないバンドゥーラ奏者の一人であるカテリーナさん。カテリーナさんは戦争で「人生における考え方や優先順位が嫌でも変わっていきました」と言っていて――。 【写真】バンドゥーラ奏者のカテリーナさん * * * * * * * ◆戦争で変わった価値観 「戦争が始まる前と戦争中の今、一番変わったことは何ですか?」 ウクライナ人が取材などでよく聞かれることのひとつです。 これはきっとウクライナに限ったことではないと思いますが、戦争前であれば、「服装に気をつけて化粧をして、つねにきれいでいなくちゃ」とほとんどのウクライナの女性たちが思っていたでしょう。 そのため、ブランドものの洋服やバッグ、化粧品、アクセサリーが自分の生きるための大切な一部、と考えていました。 でも戦争が始まって、日常が一変すると、「アクセサリー? 化粧品? そんなものは要らない。だって、今日、死ぬかもしれないのだもの」という考え方におのずと変わっていきました。
◆優先順位が嫌でも変わった 戦争前には、ウクライナの一般人の生活レベルと、歌手や女優などのセレブたちの生活レベルには格差がありましたが、戦争がはじまってみんな生活水準が同じになりました。 ご近所だけでなく、街で困っている人を見かけたら、「何か手伝うことはない?」と声をかけあうようになりました。 戦争になったら、もう化粧しなくても、きれいな服も着なくていい。今の生きている時間を大切に、一緒にいる人たちを大切にしながら生きていきたい。そう思うようになりました。 仕事に関しても、お金をもらうためではなく、ボランティアでもなんでも人のため、街のため、ウクライナのためにやる。他の人たちを助けることができるなら、力になりたい、と思う人が増えました。 コロナ禍のときもそうでしたが、やはり戦争になってから、ウクライナの女性たちの価値観は大きく変わったように思います。 人生における考え方や優先順位が嫌でも変わっていきました。 たくさんお金を稼いでブランドの服を着て、きれいに化粧して、高いヒールの靴を履いてお洒落な店に出かけることより、とりあえず食べるもの、生きるためのシンプルな服があればいい、それが優先順位の一番になりました。
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