【高校野球】鹿児島城西で奇跡を起こすハンドリング “智弁和歌山で5季連続甲子園”道端俊輔監督
社会人野球・明治安田生命では入社2年目、17年の社会人日本選手権では8強進出、入社4年目の19年の都市対抗では初戦突破に貢献。司令塔・道端は足跡を残した。明治安田生命は社業もこなすのが伝統。ファイナンシャルプランナー2級など、入社6年で保険営業に必要な24の資格を習得した。保険外交員との信頼も大事で、野球で培った持ち前のコミュニケーション能力で、関係性を構築した。道端ならではの営業も。自らチラシを製作し、飛び込みで約40校の中学校を訪問。無償での野球教室を企画した。そこで得た人脈で、契約をつかむ。仕事の中の一部が野球。22年10月で現役選手を引退した。
「68勝」の目標設定
サラリーマン生活を一区切りとし、高校野球の現場に戻るのは、当初からの人生設計だった。「高嶋先生は30歳で甲子園初勝利を挙げて以降、43年で68勝しています。私は昨年4月で30歳。もう、間に合わない(苦笑)。高嶋先生の野球で、実績を超えたいと思っていました」 通信課程で保健体育科の資格を履修し、臨時免許を習得。23年は智弁和歌山の先輩、喜多隆志監督が指揮する興國(大阪)で“修業”を積んだ。入試広報室で働きながら、野球部コーチとして指導。その後、智弁和歌山の先輩である明豊・川崎絢平監督から「鹿児島城西で監督を探している」との情報提供があった。早速、道端は動き、同校に採用された。高校野球の監督になりたくても、簡単なことではない。人の縁に恵まれ、31歳で監督として初の夏を迎える。 「もちろん、勝負に行きます。生徒たちには力がある。3年で甲子園に行けなければ、ダメだと判断される。多くのベテラン監督さんの下で、勉強したい」 低姿勢に語る道端監督。鹿児島城西は2020年春のセンバツ甲子園に初出場している(大会はコロナ禍で中止)。「夏に行けば、歴史が変わる」。これまで積み上げてきたスタイルを信じ、絶妙なハンドリングでさい配する。 取材・文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール