斎藤元彦“SNS流言合戦”にオールドメディアはダンマリ…「選挙になるとマスコミが大人しくなる問題」をどうすべきか?
なぜニュースを見るのか? 理由の一つには「理不尽な目に遭っている人を知るため」だと思っている。自分だっていつ理不尽な目に遭うかわからない。いや、気づかないだけでもう遭っているかもしれない。だからニュースを見て、知る。 【画像】「宝物の写真です」“公選法違反疑惑”斎藤知事とPR会社女性社長(32)の親密ショットを見る
パワハラ問題と選挙でコロコロ変わった「理不尽」の主語
それでいうと兵庫県知事選挙の結果は興味深かった。県議会の不信任決議を受け、失職した斎藤元彦・前県知事が再選された。不信任の発端は、斎藤氏のパワハラ疑惑を元県幹部が内部告発したことだ。斎藤氏は告発を公益通報として扱わず、県幹部に調査を命じて元幹部を特定し、懲戒処分にした。元幹部は7月に死亡した。自死とみられている。 ここで「理不尽」というキーワードを思い出そう。斎藤氏にパワハラを受けたり公益通報をつぶされた人が理不尽という声が多いかと思いきや、選挙結果を見ると「既得権益に対して独りぼっちで闘っている知事こそが理不尽」「メディアにいじめられている知事こそが理不尽」と考える人がかなり多かったのだろう。誰が理不尽な目にあっているか? という見方は共通していても判断は分かれたのである。
「真偽不明の情報が拡散した」
ではその判断を形成した大きな役割は何だったのか。メディアの分析は選挙後に多く出てきた。読売新聞は『SNSの威力』とし、社説は『真偽不明の情報が拡散した』(11月19日)。 《斎藤氏を擁護するため、亡くなった告発者の名誉を傷つけるような発信が相次ぎ、斎藤氏支持の論調ができた。》《その結果、公益通報を巡る本質的な議論がかすみ、斎藤氏擁護の声が大きなうねりとなった。》 具体的な例としては、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が出馬し、《その種の情報を発信したことも、斎藤氏の熱烈な支持者を生んだようだ》とした。 毎日新聞の社説は、《見逃せないのは、今回の知事選で多数の偽情報が出回ったことだ。発信力の強い「インフルエンサー」らが「パワハラ疑惑はでっち上げ」など事実でない情報を拡散した。接戦となった他候補の評判を落とす偽情報も流布された。》(11月19日)と、誤った情報を信じる人が増えれば、民主主義の基盤である選挙の機能が損なわれかねない、と書いた。 朝日新聞は出口調査を載せていた(11月18日)。注目したのは、『斎藤県政「評価」76% 文書問題「重視」10%』という結果だ。有権者は「いつから」文書問題を重視しなかったのか? 選挙前からずっとか、選挙期間中からなのか? 興味を持つ点だ。