「S&P500」「オルカン」だけで十分、という人が見落としている「盲点」
6. みんなで資産を失う可能性
新NISA制度以降、インデックスファンドの人気は急上昇し、多くの投資家がインデックスを選んでいます。しかし、これには別のリスクも潜んでいます。市場全体が下落するような金融危機が発生した場合、「S&P500」や「オールカントリー」に投資している人々が一斉に資産を減らす可能性があるからです。インデックス投資の性質上、同じ指数に基づいて運用されているため、価格変動は似通った動きをします。そのため、多くの投資家が同時に損失を被る「集団的なリスク」があることを意識する必要があります。そのため若い投資家にとっての資産形成であれば問題がありませんが、例えば50代から投資を始める場合、異なる投資戦略も選択肢に加えるべきではないでしょうか。
7. アクティブファンドは本当にインデックスより優れていないのか?
一般的に「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」と言われることが多いですが、それは必ずしもすべての場合に当てはまるわけではありません。アクティブファンドには、インデックスファンドにはないメリットやデメリットがあります。
アクティブファンドのメリット
【市場平均を超える可能性】 アクティブファンドは、市場平均を目指すインデックスファンドとは異なり、市場平均を上回るリターンを狙っています。特に、特定のテーマや地域、成長セクターに焦点を当てたファンドでは、個別の銘柄選定やタイミングを活用することで、高いリターンを得られる可能性があります。 【柔軟性の高さ】 市場環境の変化に応じてポートフォリオを調整できる点もアクティブファンドの魅力です。たとえば、株式市場が下落局面に入った際、キャッシュポジションを増やしたり、比較的安定性の高いセクターに集中投資することで、損失を抑える戦略を取ることが可能です。
アクティブファンドのデメリット
一方で、アクティブファンドにはいくつかの注意点もあります。 【運用コストの高さ】 アクティブファンドは、インデックスファンドと比較して運用手数料が高くなります。これは、ファンドマネージャーの選定や調査に多くのコストがかかるためです。このコストがリターンに悪影響を与える場合があります。 【パフォーマンスのばらつき】 すべてのアクティブファンドが市場平均を上回るわけではありません。実際、統計的には多くのアクティブファンドが市場平均以下のリターンに終わることも示されています。したがって、慎重なファンド選定が求められるため、個別株同様にアクティブファンドを選ぶ際には、その運用方針や過去の実績、ファンドマネージャーの経歴などを十分に調査する必要があります。これには時間と労力がかかるため、投資初心者にとってはハードルが高いと感じる場合もあるでしょう。 【アクティブの雄 マゼランファンド】 「フィデリティ・マゼラン・ファンド」という名前を聞いてピンと来る方は、投資の世界で長い経験を積んだ投資家ではないでしょうか。このファンドは、アメリカで60年以上にわたる運用実績を誇る歴史ある株式ファンドであり、その運用を支えたのが、伝説と称されるファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏です。注目すべきは、このファンドが設定されて以来、資産価値を8000倍以上にまで成長させたという驚異的なパフォーマンスです。同期間中、米国株式市場を代表するS&P500指数が約360倍に成長したことを考えると、その成績がいかに卓越していたかがわかります。とはいえ、あくまでも過去のパフォーマンスであり、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。実際、多くのアクティブファンドはインデックスファンドよりもパフォーマンスが下回っているのも事実です。 しかし、仮に投資のスタートが遅い場合で資産がある程度あるならば、リスクをとりながら投資期間を短くして目標金額を目指す手法として、アクティブファンドや個別株も投資の選択肢に入るのではないでしょうか。