「S&P500」「オルカン」だけで十分、という人が見落としている「盲点」
3. 為替リスクと地域偏重の盲点
インデックス投資がいくら分散投資できるとはいえ、為替リスクを回避することはできません。たとえば、円安局面では投資リターンが増加する可能性がありますが、逆に円高が進行すれば、現地株価が上昇していても、為替差損で利益が相殺される可能性があります。 また、地域バランスにも注意が必要です。つまり「S&P500」はもちろんですが、「オールカントリー」であっても米国株の比率が過半数を占めており、実は米国株式市場以外の動向を反映しにくいという課題を抱えています。特に米国以外の国へ投資を検討したい場合には、他の投資先で補完することも考えるべきでしょう。
4. 投資を遅く始めた場合の課題:インデックス投資だけでは時間がかかりすぎる
インデックス投資は、長期的な資産形成に非常に有効な方法とされています。実際に毎月一定額を積み立てていけば、時間を味方につけて複利効果を享受できる点が大きな魅力です。しかし、資産形成を始める年齢や投資期間によっては、インデックス投資だけでは目標達成までに時間がかかりすぎる可能性があります。 【複利効果には時間が必要】 複利効果が最大限発揮されるには、「元本」と「運用期間」が重要です。若い頃から運用を始められるなら、少額でも長い期間で大きな資産を築けます。しかし、40代後半や50代以降から投資を始めた場合、目標金額に達するまでの時間が限られており、インデックス投資だけでは十分なリターンを得るのに時間が足りない場合があります。 【短期的な目標に対する対応力が低い】 たとえば、老後資金といった明確な目標がある場合、これらの資金を必要なタイミングまでに十分に増やすには、インデックス投資ではリターンの速度が不足することもあります。インデックス投資のリターンは市場全体の成長に依存しており、短期的に大幅な増加を期待するのは難しい可能性があるからです。
5. インデックス投資を補完する戦略
インデックス一辺倒の投資をリスクと考えた場合、または投資を始める年齢が遅くてもリスクをとれる資産がある場合、以下のような補完的な投資戦略を検討することが重要です。 【アクティブファンドの活用】 市場平均を超えるリターンを狙えるアクティブファンドを組み合わせることで、短期的なリターンを補うことも選択肢に入るでしょう。ただし、コストが高いため、慎重に選択する必要があります。 【個別株や債券の併用】 短期間での収益を増やすために、成長著しい個別株を狙う方法や利回りの高い債券に投資する方法があります。実際、世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、今年に入ってから株式よりも米短期債の保有比率が上回っています。 とはいえ個別株をする場合、財務の知識が必須であり、継続的な企業分析が必要であるため、投資の知識や経験がある投資中級者以上の方が対象となるでしょう。 【地域特化型ファンドの併用】 「オールカントリー」や「S&P500」を中心にしつつ、新興国などのETFや投資信託を追加することで、地域ごとのバランスを調整する方法です。歴史的に先進国と新興国の間で投資トレンドは入れ替わり続けているのに加えて、分散投資という観点からも有効な手法だと考えます。 【リスクヘッジを意識した資産配分】 為替リスクや市場全体の下落リスクを考慮し、債券やコモディティなどの異なる資産クラスを組み合わせることも有効です。 これらの戦略により、インデックス投資の手軽さと個別ファンドをバランス良く取り入れたポートフォリオを形成することも可能です。 【リスクとのバランスを取る重要性】 補完的な投資は、リスクも伴います。短期的なリターンを狙う投資先ほど、価格変動のリスクが高くなる傾向があるからです。そのため、自分のリスク許容度や目標に応じて、リスクとリターンのバランスを検討することが求められるといえるでしょう。 だからこそ富裕層の多くが投資のアドバイザリーとしてプライベートバンクやIFAなどを利用しているのです。