【イヤホンを使って大音量で聴くと脳老化に!?】脳科学者が解説する「聴覚低下型の老化脳」って?
最近は、スマホやマルチタスクの影響も相まって「脳疲労」というワードが身近になってきたけれど、放っておくとそれが「脳老化」へと繋がってしまう可能性が。まだ若いから大丈夫ということはなく、やる気がおきない、集中力が続かないなども脳老化の影響かも……!今回はいくつかある脳老化の中から、「聴覚低下型の老化脳」タイプについて解説! 20・30代も脳の老化が加速中!? 【脳老化診断】 脳の老化をチェック。
教えてくれたのは……西 剛志さん
脳科学者・分子生物学者。博士号を取得した後に特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウをレクチャーし、才能を引き出す方法を提供している。テレビや雑誌、WEBといったメディア出演や講演など多角的に活動し、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム刊)をはじめ著書も多数。
聴覚低下型の老化脳
「イヤホンを使って大音量で聴く」がクセづいていると危険かも? 聴覚が低下して耳が遠くなると、脳の老化を加速させることがわかっています。その原因は、音声の刺激が入力される『内耳組織(ないじそしき)』や脳の『聴覚中枢(ちょうかくちゅうすう)』など、耳にまつわる機能の低下。耳からの刺激がなくなることで脳に変性が起こり、脳機能まで衰えてしまうのです。人の声が聞き取りづらい、ボリュームをすぐに上げてしまうという人は、気をつける必要があるでしょう。聴覚の低下というと高齢者の話だと思っている人も多いですが、WHO(世界保健機関)は『若年性難聴』の若者が世界で11億人もいると勧告しています。イヤホンなどで爆音を聞いていると耳の鼓膜細胞が破壊され、ダメージが蓄積されていきます。徐々に聞こえなくなって難聴になると、脳の老化も加速。実は、視力より聴力のほうが、脳老化への影響が大きいんですよ。
今からやるべき脳老化対策
・テレビや動画を大音量で見ない ・イヤホンはノイズキャンセリングに切り替える ・著しく聴覚が低下しているのなら補聴器も選択肢に いちばん大事なのは、とにかく大音量でイヤホンを使わないこと。外出時はとくにボリュームを上げてしまいがちなので、外部の音を遮ることができるノイズキャンセリングのものを用いましょう。家でヘッドセットをつけてゲームをするときなども、爆音は絶対にNG。大きな音を聞かない&音量を下げる習慣をつけて、聴覚をいたわることが先決です。聴覚は、失ってしまうとなかなか元に戻りません。いま食い止めることで、聴覚ダメージをこれ以上、進行させないことが重要です。もし、すでに聴覚が低下してしまっていると感じるのであれば、補聴器に頼ることも一つの手。耳からきちんと刺激を入れることによって、脳の老化を遅らせることができます。 イラスト/本田佳世 取材・文/橋場鈴里 Edited by 西村 美名子