愛子さまはなぜ、能登半島地震の被災地でテニス大会に立ち寄る予定だったのか 「天皇の娘」は、まだ皇室が足を運んでいない土地へ
天皇、皇后両陛下は12月17日、1月に能登半島地震、そして9月に豪雨被害を受けた石川県輪島市を訪問された。おふたりが能登を訪れたのは3回目だ。一方で、両陛下の長女、愛子さまは、同県七尾市や志賀町への訪問を予定していたが、直前の豪雨災害で取りやめになったままだ。当時、愛子さまが立ち寄る予定だった復興支援のためのテニス大会で実行委員長を務めた元プロテニス選手の佐藤直子さんは、愛子さまが現地に足を運ぼうとしてくれたことに感謝している。 【写真】しゃがむ愛子さまとフードボールに「ぎゅうぎゅう」の子猫たちはこちら! * * * 1月に能登半島地震、9月には豪雨によって相次いで被害を受けた能登地方。 30世帯が避難生活を送る輪島市の輪島中学校を訪ねた天皇陛下と皇后雅子さまは、高齢の被災者たちの前で腰をかがめて目線を合わせ、その言葉に耳を傾けていた。 これまでにおふたりは能登地方に2度訪問し、秋篠宮ご夫妻も被災地を訪れている。 そして両陛下の長女愛子さまも、9月28日と29日に七尾市、志賀町を訪れる予定だったが、直前の豪雨災害で中止になった。 「天皇陛下と皇后雅子さまも、愛子さまが初めておひとりで臨む予定であった被災地訪問については、いろいろと気にかけておられたようです」 皇室の事情を知る人物は、そう語る。 ■皇室が訪問できなかった被災地 愛子さまは当初、復興支援の一環として9月29日に七尾市で開かれた「能登和倉国際女子オープンテニス2024復興支援大会」の決勝戦を観戦する予定だった。 「愛子さまのお立ち寄りが決まったと県から知らされたときは、七尾市役所もわれわれ大会の運営サイドも驚きました」 そう語るのは、大会の実行委員長を務めた元プロテニス選手の佐藤直子さんだ。
一般的に、行事などに皇族方が臨席する場合は、主催者や自治体から宮内庁に「お出まし」をお願いして実現するケースが少なくない。 佐藤さんら大会実行委は大会が開かれるこの地に、愛子さまに足を運んでいただけないかと考えた。 「七尾市、特に和倉温泉は、この地域の経済の中心であるにもかかわらず、インフラの復旧が他の地域よりも遅れていたことも影響し、まだ皇室の被災地訪問が実現していない場所でした」(佐藤さん) もし愛子さまが訪れてくれたら地元の励みになる。そう考えた実行委は、いったんは「お出まし」の申請を準備し始めたが、最終的には「かえってご負担になってはいけない」と思い直し、申請を見送ることにしていた。 にもかかわらず、愛子さまが大会を観戦するという連絡があったため、驚いたのだ。 「自治体や宮内庁の配慮だったのか、それとも愛子さまサイドが見つけてくださったのかはわかりません。しかし、内親王の訪問は土地の人たちをどれほど勇気づけることかとありがたかった」(佐藤さん) ■「こんなときにテニス大会なんて…」 災害関連死もふくめ、約500人の死者を出した能登半島地震。七尾市の和倉温泉も大きな被害を受け、温泉街を代表する老舗旅館「加賀屋」をはじめとする22軒の宿泊施設が全て休業に追い込まれた。 毎年秋に開催されていた「能登和倉国際女子オープンテニス」大会は、会場となっていた七尾市和倉温泉運動公園の半数のテニスコートに被害があったものの、大会で使う予定だった6面のコートは無事だった。 「そうはいっても、能登半島が大変な時にテニスの大会を開いていいのだろうか。私も大会を運営するメンバーも迷っていました」 佐藤さんは、3月からボランティアとして被災地に入り、4月には大会のアンバサダーを務める女優の南野陽子さんと一緒に避難所となっている体育館などを回った。 そして、大会実行委のメンバーたちと、開催すべきかどうか話し合う場が持たれた。