Googleのサードパーティ Cookie 廃止撤回でも、代替IDへの取り組みを続けるメディアエージェンシーたちの思惑
将来的には衰退する
Googleの決断はCookieが長期的に残存することを必ずしも意味しない。ノーヴァス(Novus)でデジタル担当バイスプレジデントを務めるポール・ディジャルナット氏は、「Cookieの終わりが近づいていることに変わりはない」と述べている。今後も続くと思われるのは、Cookieから脱し、確立された「良い習慣」をベースとしてそれをさらに発展させる努力だと、ディジャルナット氏は話す。具体的には、デバイスグラフやオプトインのような別の形のターゲティングを模索すること、あるいはファーストパーティデータの使い方を改善することなどが含まれるという。 ディジャルナット氏は、「いまではCTVやストリーミングオーディオのようにターゲティングや効果測定をCookieに依存しないデジタルチャネルも存在する。Cookieの長期的な展望としては、断片化の進むマルチチャネルの市場で衰退に向かう未来しか見えない」とも述べている。 また、デジタルエージェンシーのクラウド(Croud)で戦略的アナリティクス担当バイスプレジデントを務めるコンラッド・コプチンスキー氏によると、同エージェンシーではGoogleの方針転換の詳細についてクライアントと密にコミュニケーションを取り、ファーストパーティデータの使用の継続を確認しているという。「とは言っても、データに関する我々のアプローチは基本的には何も変わらない」と同氏は言い添えた。 クラウドはクライアントのファーストパーティデータの収集能力を、同意やコンバージョンなど、各種のツールで強化することに注力している。たとえば、同意に基づく効果測定は、分析や広告に利用できるデータを消費者自らが選択できるようにすることで、ユーザーのプライバシーを保護しようという試みだ。 同様に、コード3(Code3)のメディア担当バイスプレジデントであるイヴォンヌ・ウィリアムズ氏も、「Cookie廃止の撤回は代替技術の活用をやめてよい理由にはならない。クライアントに対しては、ファーストパーティデータの活用を継続し、プラットフォーム横断的にオーディエンス拡張をテストすべきだと助言している」と語った。 「要するに、サードパーティCookieは唐突に終わりを迎えたわけではなく、生命維持装置につながれた状態にあるということだ」とウィリアムズ氏は続け、「したがって、アドレサブルな広告在庫が潜在的に不足する状況やそのほかの未知数に対応し、収益減やパフォーマンスの低下を軽減するための戦略を、先を見越して準備しておくことが重要だ」と言い添えた。 エージェンシーのメディアプラス(Media+)でシニアデジタルスペシャリストの肩書きを持つジェイソン・アルフレッド氏も、「Cookieに関するプライバシー上の懸念が払拭されず、消費者のオプトアウトが続けば、サードパーティCookieからのシグナルが大幅に減少する」と指摘している。「広告主に対しては、ファーストパーティデータとコンテンツの文脈的な関連性を軸に、有望なソリューションのテストや構築を継続すべきとアドバイスしている」。