阿部一二三「オリンピックで4連覇すると決めている」詩「悔しさは自分次第で大きな糧になる」(柔道)
阿部一二三「柔道で生きている」
印象的だったのは、金メダリストでもさぼりたいと思う日はあるのか、という質問をした時のふたりの様子だ。顔を見合わせて、一二三が詩に向かって「さぼるってなんや?」と尋ねたのだ。そして質問の意味を理解した一二三は、こう答えた。 「中学生、高校生の頃はあったかもしれません。でもいまは、日曜日を完全オフにするなど、そういう気持ちにならないようにスケジュールを組み立てています。柔道で生きているし、目標もあるので、さぼりたいとか、そういうのはないですね」 この発言に、隣に座る詩もうなずいている。一二三によると、自身の柔道の完成度は40%で、伸びしろだらけだという。ふたりにとって、パリはまだ旅の途中。物語は始まったばかりで、佳境に入るのは4年後、8年後なのかもしれない(9月10日記)。
HIFUMI ABE 柔道家。1997年生まれ、兵庫県出身。パーク24所属。神港学園高校2年生のときに講道館杯とグランドスラム東京を制し、注目を集める。東京五輪代表決定戦での丸山城志郎との24分におよぶ死闘は、いまも語り草になっている。東京での金メダル獲得の後、無敗でパリに臨んだ。 UTA ABE 柔道家。2000年生まれ、兵庫県出身。パーク24所属。2人の兄を追って5歳から道場に通い始める。初出場だった2018年の世界選手権で優勝、兄妹で金メダルを獲得した。東京五輪でも柔道初となる兄妹同日金メダルを達成。東京の後は負け知らずで、パリの舞台に立った。 PHOTOGRAPHS BY YUSUKE ABE @ YARD STYLED BY MIWA HASHIMOTO HAIR STYLED BY YOUSUKE AKIZUKI WORDS BY TAKESHI SATO