英キャサリン妃が終えたがん治療、「予防化学療法」とは なぜこの治療を受けたのか
どんな内容なのか? 今後の状況は? 診断の影響は
英ウィリアム皇太子の妻キャサリン妃は2024年3月末、がんを患っていることを公表して世界を驚かせた。がんの種類やステージについては明らかにしなかった一方、キャサリン妃は、自身が「予防化学療法」を受けていると言及した。 ギャラリー:がんの治療にも影響、炎症を抑える食べ物とは 写真6点 ケイト・ミドルトンとの呼称でも知られるキャサリン妃は、2024年1月、事前に録画された動画で、当時はがんではないとされていた症状で腹部の手術を受けたと公表した。しかし、その後の検査によってがんが見つかり、医療チームが「予防化学療法(preventative chemotherapy)」を提案したのだという。 2024年9月、キャサリン妃は動画を通じて、現在はすでに化学療法を完了し、「がんの完治のためにできることをしている」と語った。 予防化学療法とは、手術でがんの腫瘍を摘出したあとに「再発を防ぐ」ため、一般的に患者に施されるものだ。医学用語では「補助療法(アジュバント療法)」と呼ばれ、ほとんどの医師は、混乱を避けるために「予防」化学療法という呼称を使っていない。 「がん自体を“予防”する手段として化学療法が提供されることはありません」と、米フロリダ州にあるモフィットがんセンターのがん専門医モニカ・アビラ氏は言う。 米国疾病対策センター(CDC)のデータによると、がんは米国での死因の第2位だ。とはいえ、米がん協会(ACS)の2023年1月の報告では、先進的な医療介入により、1991年以降、この病気による死亡率は約33%減少している。 その理由のひとつが、検診や早期診断の改善だ。「早期に発見されれば、大半の患者は治癒します」と、米南カリフォルニアにあるシティ・オブ・ホープがんセンターの外科腫瘍医ユーマン・フォン氏は言う。 治療の望ましい結果と生存率は、医師が勧める治療に、患者がどれだけ積極的に従うかどうかにかかっている。キャサリン妃の姿勢は、まさしくその模範と言えるだろう。