H3ロケット4号機、まもなく打ち上げ 衛星の静止軌道投入に初挑戦 宇宙ビジネス拡大へ
日本の次世代主力ロケット「H3」4号機が、きょう4日午後3時48分に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられる。機体の構成は3号機と変わりはないが、今回はH3として初めて、地球からの高度約3万6000キロに位置する静止軌道への衛星投入に挑む。民間衛星の打ち上げ需要が大きい軌道で、日本が宇宙ビジネス拡大を狙う上で、極めて重要な一歩となる。 【写真】宇宙空間を飛行するH3ロケットの想像図 H3はこれまで、搭載する衛星を高度2000キロ以下の低軌道に投入してきた。だが4号機は、防衛省のXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」を静止軌道に投入する。衛星が地球の自転と同じ速さで飛行するため、特定地域の上空でまるで静止しているように見える軌道で、民間の気象衛星や通信・放送衛星などに使われることが多い。 今回は、衛星が第2段ロケットから分離後、中間的な軌道を周回しながら自身の燃料やエンジンを使い進路を調整し、静止軌道に入っていく。将来は、分離前に中間的な軌道に入ってロケットのエンジンで進路の調整を補助することも計画しており、その実現に向けたデータの収集も大切な目的の1つという。 うまくいけば静止軌道に近いところまでロケットで運べるため、衛星は負担が軽減し、寿命も延ばせる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠プロジェクトマネージャは、打ち上げに先立つ記者会見で「より衛星にやさしいロケットを実現したい」と話した。(伊藤壽一郎)