元総合格闘家・三浦広光さん逝去 9月に発覚の「急性白血病」とは?【医師解説】
急性白血病の治療中の過ごし方や予防方法
Q.急性白血病の治療中に注意することはありますか? A.治療によって一気に壊れた白血病細胞の残骸が体内に溢れると、処理しようとする腎臓の機能が追いつかない場合があります。そのため、最初の1~2週間程度は残骸を薄めるために点滴を増やしたり、腎臓に悪影響を及ぼす尿酸を分解するための投薬を行ったりする対策が必要です。また、治療の初期の段階では血液細胞に影響を及ぼす薬を使用するため、ただでさえ白血病細胞の影響で血液が作りにくい状態になっている体は合併症が起こりやすくなります。 治療が進んで寛解した後も、白血球が少なくなっているため感染症などにかかると重症化の恐れがあります。ご本人はもちろん、ご家族も含めて感染症には注意を払うことが大切です。 Q.再発する可能性があると聞いたのですが……。 A.急性白血病は、寛解の状態に持っていけたとしても再発する可能性のある病気です。治療が終了した段階でも白血病細胞がどこかに残っていると、増殖して症状が出現する・検査で検出されるなど、再発に至る場合があります。 急性骨髄性白血病の再発は、治療後3~5年以内に起こりやすいです。65歳未満のおよそ85%が完全寛解し、65歳以上では約60%が完全寛解します。寛解した患者様のうち40%前後は治癒すると期待されています。急性リンパ性白血病の再発が多くみられるのは寛解から2年以内です。寛解から4年経過すると、再発の可能性は1%以下まで下がります。 Q.急性白血病を予防することは可能ですか? A.残念ながら急性白血病のはっきりとした原因はいまだに解明されていません。そのため効果的な予防法も存在していないのが現状です。ただし、十分に解明されてはいないものの、ウイルス・有機溶剤・喫煙などとの関連性が考えられています。これらを避けることが予防になるとはいい切れませんが、頭の片隅にとどめておいてもよいかもしれません。 Q.最後に、読者へのメッセージをお願いします。 A.白血病には、色々な種類があり、大きく分けると急性と慢性に分類されます。特に、急性骨髄性白血病では、骨髄中で骨髄芽球に異常が起こり、がん化した白血病細胞が骨髄で異常に増殖する病気であり、白血病細胞が増加することによって正常血液細胞が合成されず、赤血球、血小板、白血球などが正常よりも減少します。その結果として、貧血症状が出現し、息切れや動悸を自覚しますし、血小板が低下することで鼻出血や歯茎出血、それ以外にも発熱、頭痛、関節痛などの症状が自覚されることもあります。 また、急性リンパ性白血病とは、白血球の一種であるリンパ球になる前駆細胞に異常が起こり、がん化した白血病細胞が骨髄で無制限に増殖する病気であり、脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすい特徴があります。白血病細胞が様々な臓器に浸潤すると、関節痛がひどくなる、あるいはリンパ節が腫脹する所見などが出現しますし、脳や脊髄など重要な中枢神経に浸潤すると頭痛や吐き気が自覚されます。急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病は病状の進行が速いので、早期的な診断と治療に結び付けることが重要な視点となります。