元総合格闘家・三浦広光さん逝去 「急性白血病」とは? 9月に発覚【医師解説】
元総合格闘家で元プロボクサーの三浦広光さんが10月26日に亡くなっていたことを、本人のSNSを通して親族が報告しました。43歳でした。9月中旬に「急性白血病」であることが発覚し、闘病していたそうです。 【イラスト解説】「急性骨髄性白血病」の初期症状 急性白血病は血液のがんとも呼ばれ、発症してから2~3ヶ月程度で命を落としてしまう可能性のある病気です。早期の発見・治療が命取りとなるものの、注意すべき症状は病名ほど知られていないのが現状です。ここでは、急性白血病について原因・兆候・治療方法などを医師の甲斐沼先生に解説してもらいました。
急性白血病とはどんな病気?
Q.急性白血病とはどんな病気ですか? A.急性白血病とは、血液のがんとも呼ばれ恐れられている病気です。骨髄や血液の中で細胞ががん化して増殖します。その細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分類され、さらに病気の進行速度や悪性となった細胞の段階に応じて急性と慢性に分けられます。 急性白血病は急激に症状が進行するのが特徴で、あとから慢性白血病に変化することはありません。発症後、治療をせずに放置していると、わずか2~3ヶ月で命を落とす恐ろしい病気です。 Q.急性白血病になる原因・兆候はありますか? A.急性骨髄性白血病は、骨髄や血液の中に腫瘍細胞(白血病細胞)が現れる病気です。骨髄は骨の中心部にあり、血液を作る役割を担う場所です。血液細胞のもととなる造血幹細胞が分化して増殖し、血液が作られる過程で骨髄芽球という未熟な血液細胞が生まれます。この骨髄芽球の遺伝子になんらかの異変が起こり、がん化した白血病細胞が増殖することで発症します。 急性リンパ性白血病は、白血球の中のリンパ球が未熟なうちに悪性化してしまい、増殖することで発症に至る病気です。しかし、このような異変が起こる原因は未だわかっておらず、急性白血病の多くが原因不明です。ただし、放射線被曝や抗がん剤治療の後には発症する確率が上がることがわかっています。また遺伝性の病気ではないため、親から子へ遺伝する心配はありません。初期の頃には症状が出ないため、症状が進行する前の段階での兆候はないことがほとんどです。 Q.急性白血病を疑う症状を教えてください。 A.初期の頃は特に症状が出ないことが多く、進行してから異変が現れます。主な症状は下記の通りです。 ・倦怠感 ・動悸 ・息切れ ・肺炎 ・敗血症 ・出血傾向 倦怠感・動悸・息切れは、正常に血液が作れなくなるための貧血に伴う症状です。肺炎・敗血症などの白血球の減少による感染症に伴う症状も起こりやすくなります。 血小板の減少による出血傾向も強まるため、血が止まりにくいことで症状に気づく場合もあります。 また、下記の症状にも注意が必要です。 ・肝臓などの臓器の腫れ ・腰痛や関節痛 ・頭痛 ・吐き気・嘔吐 これらの症状がみられた場合、白血病細胞が臓器にまで浸潤しているケースもあります。不調を感じたら速やかに医師による診断を受けることが大切です。 Q.急性白血病の発症と年齢は関係ありますか? A.急性骨髄性白血病の発症頻度は、10万人に2~3人です。発症率は年齢が上がるにつれて増加するといわれています。40代から徐々に発症率が上がり、60~70代での発症がもっとも多いです。一方、急性リンパ性白血病は主に小児に発症することが多いです。特に2~5歳の幼児に多く、15歳未満の小児で発症するすべての白血病のうち急性リンパ性白血病が75%を占めています。成人の場合は45歳を超えるとやや増加する傾向にあり、1年間で10万人あたりに1人の発症率とされています。