82歳でアプリ開発「米アップルCEOのティム・クックも認めた」脅威の“スーパー89歳” 何歳からでも“やりたいこと”を見つける「3つの方法」
2007年にスマートフォンが発売されて、新しもの好きの若宮さんも使い始めていたが、シニアのカサつく指先ではスワイプやスライドの操作はやりにくいし、たくさんある機能はちっとも便利ではない。 シニアでも操作がしやすくて、楽しめるゲームアプリがほしい。そして生まれたのが、前述の『hinadan』だった。 スマートフォンの画面上で、日本の伝統文化のひな人形を正しい位地に並べるだけ。シンプルで、若者のゲームのような瞬発力やスピードは必要なく、操作は画面をたたくタップのみ。シニア泣かせのスワイプやスライドは使わない。
「自分に必要なものが世の中になかったら、作っちゃう。そういう道も楽しいと思いますよ。会社の仕事じゃないから、ノルマも納期もありません。予算はご自分で出せる範囲でやりくりしましょう」 そして3つめは、とりあえず獲得体験を増やすこと。新聞を読んで新しい言葉を1つ覚える。散歩で知らない道を歩いてみる。コンビニで新発売のお菓子を買って食べてみる。事前準備不要、手間なしで、思い立ったらすぐ実行できることで構わない。
「昨日できなかったことを、今日はやってみる。どんなに小さなことでも、新しい経験は気分を楽しくしてくれます。家族に、今まで口にしたことのなかった『ありがとう』を伝えてみるなどは、今すぐできることですよね」と、若宮さんは推す。 獲得体験が気持ちに弾みを作り、経験したことがない趣味や活動を始めることにつながったら、大成功である。 ■デジタル化社会は「高齢者にとっていい流れ」 このやりたいこと探し、若宮さんがシニア世代へおすすめするのは「めざせ、“リケ老”」。スマートフォンやパソコン、デジタル機器になじんで、デジタル化社会のスキルを身につけた“理系老人”になることを提唱する。
キャッシュレス、ペーパーレス化がどんどん進み、スーパーではセルフレジ、飲食店ではタブレットメニューが当たり前。ファミレスでは、配膳ロボットが食事を運んでくる光景も当たり前になってきている。 JRの駅ではみどりの窓口のかわりに自動券売機が並ぶ。自宅にいながら買い物もホテルの予約もインターネットでできるし、ネット割引などお得なものも多い。 「デジタル化社会は高齢者にとって過酷なように言われていますが、実際には、身体機能が衰えていく高齢者にはいい流れなんです。1人暮らしでもスマホを持っていれば、遠く離れていても家族と顔を見ながら会話ができるし、安否確認もできます。AI搭載の家電は労力を軽減してくれますよね。高齢化による人手不足が進めば、今後はロボットに介護してもらう時代がくるかもしれません。アナログ時代を生きてきた私たち高齢者がデジタルのスキルを身につければ鬼に金棒です」