【定番名品シリーズ】ビジネスからレジャーまで、大人が持つべきトレンドに左右されない名品トート5選
長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する。 【写真】タフな機能性に加え経年の味わいまでも楽しめるエンダースキーマのトート 写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登 ■ 万能な使い勝手に加え流行にかかわらず愛用できる 結局人は、使い勝手の良いものを選んでしまう。移動時の必需品となるバッグだが、21世紀の現代はそれこそ星の数ほど選択肢がある。しかしファッション化が著しい現代において、装飾が先行してしまい、見ばえは良いものの実用性においてイマイチな鞄も少なくない。しかしトートバッグはその万能的な使い勝手、優れた耐久性、そしてモデルによってはエイジングが味になることから、日常鞄として根強い人気を保っている。 気になるのは「トート」という言葉だ。これはアフリカ系アメリカ人である“ガラ”の人たちが使うスラング「運ぶ・背負う」に由来するという。ガラの人たちは自らの伝統を大切にしており、植物繊維を用いた編みカゴなどを近年まで手作業で作っていた。おそらくはそういった手製のカゴ鞄が、トートバッグの発生元だと考えられる。しかし藁草等による編み物トートは耐久性や大量生産において難点がある。そこで帆布などのキャンバス素材に置き換えられていった経緯が浮上する。 そんなキャンバストートの代表作として有名であるのが、米国のアウトドアブランド、L.L.ビーンが打ち出す「ボート・アンド・トート」だ。まだ電気冷蔵庫が普及していない1940年代に、氷の塊を運ぶ入れ物として生まれた「ビーンズ アイスキャリア」がそのオリジン。耐久性に全振りした手提げバッグは厚手キャンバスを用い、補強を入れた底までつなげたハンドルを設けることで、100キロを超える氷の運搬にも耐えたという。 その機能性から世界に広まったトートバッグだが、21世紀に至るまで人気を維持しているのは、万能的な使い勝手も大きな理由である。広めの開口部をもつことに加え、基本的に荷室を分割しないトートは、大きな荷物の出し入れも自在だ。しかも極めてシンプルなデザインゆえに合わせる服装(ドレススタイルは別)を選ばないところも見逃せない。 大きめサイズを選べば、荷物の多い日のビジネスを含めた作業用に始まり、買い物および旅行、それにピクニックやキャンプ等まで、幅広いシーンに活用可能である。そこで今回は、タフな素材を使用し縫製も頑強、そしてトレンドを気にせず使い続けられる名品トートを選んでみた。 1. L/UNIFORM ■ キレイめな装いに合わせたいヨーロピアン・トート トートの利便性をドレッシーなシーンで活用したい。そう考える人におすすめであるのがリュニフォームの新作だ。パリを拠点とするリュニフォームは、ワークなどの実用的なアイテムをエレガントにアレンジするバッグ・アクセサリーブランド。ショッピングカートやスクールバッグなど、過去の名品を見てもその独自性が見て取れる。 このトートは色や形を長もちさせる目的で、フランスとイタリアにて厳密な基準を設けて織り上げた特注キャンバスを使用する。白糸と紺糸の2色織りゆえの上品さと爽やかさを備えたルックスも特徴。キャンバスらしいナチュラルなタッチがありながら、防水や撥水、それに防汚性をもたせるため特殊樹脂を両面コートしており、日々の手入れもじつに容易。また、ハンドルやキワ部分をレザーに替えているため、実用的かつクラス感ある仕上がりとなっている。