角田裕毅のシーズン後半戦への意気込み……目標は打倒アストンマーティン「ドライバーとしてもチームとしても良い形」
RBの角田裕毅は、F1前半戦、そしてその後に行なわれたチームのフィルミングデーを終え、日本に帰国。束の間の夏休みを過ごしている。自身とアーティストのVERDY氏がコラボしたポップアップに顔を出すなど、完全なオフとはいかないようだが、それでも旧来の仲間と過ごすなど、英気を養っているようだ。 【動画】角田裕毅照れ笑い?「僕の可愛い目つきを表現してくれてます!」VERDYとのコラボグッズに感激 そんな角田に、帰国直後に話を訊く機会があった。欧州に拠点を移した角田としては、夏を日本で過ごすのは実に6年ぶり。その暑さに、やられているようだ。 「本当に暑いですね! これまでも、東京の夏をそんなに経験してきたわけではないのですが……外に出た瞬間の息苦しさというか、普通の街を歩いているだけでも酸素が薄いような、そんな感じがします」 そんな角田のシーズン前半戦は、まさに”活躍”という言葉に相応しいレースが続いた。上位を占めるチームが固定化されつつある中、14戦中7戦で入賞。合計22ポイントを稼ぎ、ランキング12番手につけている。その活躍により周囲からの評価も高まり、シーズン開幕から早々にRBとの契約延長が決まった。 「悪くはなかったと思います」 シーズン前半の自己評価について尋ねると、角田はそう語った。 「去年に比べて、チームとしても良い状態でシーズン前半を終えることができました。もちろん他のチームも迫ってきているのでタイトな状況ですが、その分チームも一丸となっています。せめて現在のコンストラクターズランキング6番手でシーズンを終えるべく、後半戦に向かうというという意気込みも見えています。そんな中でポイントも多く獲れたので、ドライバーとしてもチームとしても、いい形なのかなと思います」 そんなシーズン前半前で最も印象に残っているのは、鈴鹿サーキットで行なわれた日本GPだったという。角田にとっては3回目となる日本GP……これまではなかなか入賞には手が届かなかったが、今年ようやく10位入賞を果たした。 「やっぱし鈴鹿ですね。ポイントを獲れたのは特別なことでしたし、いつものトップ10とは違う印象もありました。これまではポイントが獲れそうで獲れませんでしたからね」 そう角田は言う。 「もちろん鈴鹿での表彰台を狙いたいですが、ちょっとずつステップアップです。徐々に、徐々にです……まずはポイントを獲ることができてよかったです」 なお前半戦最後の1戦となったベルギーGPの後、RBはイモラでフィルミングデーを実施した。この日はレギュラードライバーの角田とダニエル・リカルド以外にも、リアム・ローソンや岩佐歩夢らも集まり、マシンを走らせた。そのため、シーズン後半もしくは来季に向けた、”レッドブル昇格”のためのオーディションとしての役割もあるのではないかと思われた。 このテストについて角田は、次のように振り返った。 「僕は特に……特別なことはないです。いつもの、今年のクルマでの単なるフィルミングデーでした」 なお今年の角田には、海外からの注目も高まっているように見える。motorsport.comの海外スタッフからも、シーズン中は連日角田に関する情報が届いた。その一方で、日本国内でのファンを増やすことも考えねばならない。 「もちろん、海外からの注目も高まっているように思います。F1は世界的に盛り上がっている状況ですし、その相乗効果もあると思います。その中で結果も出しながら、流れに乗れているのがよかったと思います」 「日本のファンがもっと増えてくれると、僕も嬉しいです。そのためには、もっと多く日本に戻ってきて、皆さんと触れ合う時間を多く作れるようにできればベストなんですけどね。でも、スケジュールの都合でなかなか日本に帰ってくることができないんです」 「ですから今は結果を出して、自然に注目を集めることができればなと思います」 今後に向けては、まず今季後半戦の戦いぶりが非常に重要になってくる。その後半戦に向けた意気込みについて、角田は次のように語った。 「後半戦も頑張ってポイントを取り、トップ6で終わりたいと思っています。でも、(コンストラクターズランキング5番手の)アストンマーティンもそれほど遠いわけではないので、そのアストンマーティンを追い抜けるように、ポイントを獲っていきたいです。そのためにも、マシンをどんどん開発して、速くしていかなければいけません」 なおRBは今季からブレンボ製のブレーキを使っており、当初はその扱いに苦労したという。しかし今ではそれも解決できているようだ。 「もう大体解決できています。今年からブレーキをブレンボのモノに変えています。以前は別のメーカーのモノを使っていたんですが、メーカーが変わると今まで使っていたセットアップが使えません。経験とデータを少しずつ積み上げていって、どのバランスがマシンに合うのかということを少しずつ理解していかないと、最高のモノは見つかりません」 「でも、新しいブレーキを使いはじめてから2~3戦でだいたスイートスポットが分かってきたので、そこはもう大丈夫です」
田中健一