年間赤字6.5億円!いま、札幌ドームに迫る「2つの危機」…「ライブ開催激減」「コンサドーレ降格ピンチ」
年間2.94億円赤字予想→「6.5億赤字」
2002年に開催されたFIFAワールドカップの会場でもあり、数々のスポーツやライブで多くの人々を熱狂させてきた「大和ハウスプレミストドーム」(旧:札幌ドーム)の赤字が、急激に膨れ上がっている。 【写真】全米も驚愕!大谷翔平の妻・真美子さん「衝撃のドレス姿」 おもな原因は、この球場を本拠地としていたプロ野球・北海道日本ハムファイターズの移転、退去とされている。これまで「使用料・諸経費込みで20億円」とも言われていた売上の喪失もあり、2022年度には29.7億円もあった売上が、2023年度には12.7億円までダウンしてしまった。 運営元の「株式会社札幌ドーム」も、1.2億円の単年黒字からマイナス2.94億円という赤字転落は想定していた。しかし実際には2023年度の単年赤字(純損失)は6.5億円と、想定を約2.5億円も上回る額を叩き出してしまった。 札幌ドームを去ったファイターズが、新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」で順調に観客を集め、2023年度で36億円の営業利益(上方修正10億円)を叩き出しているのとは、あまりにも好対照だ。 直近では、長らく販売中であった命名権(ネーミングライツ)の契約がまとまり、「大和ハウスプレミストドーム」への改名で「4年10億円」(各社報道による)という契約料が得られる見込みだ。ただ、この収入を以てしても、単年6.5億円という赤字を解消する道筋は見えない。 なぜ札幌ドームは、想定外の赤字を出してしまったのか。原因を振り返りつつ、「大和ハウスプレミストドーム」改称後も山積みの課題を解いてみよう。
【原因(1)】ライブ誘致の低迷
「大和ハウスプレミストドーム」の運営元である株式会社札幌ドームよると、6.5億円にも及ぶ赤字の要因は、年間利用が98日(前年比26日減)と伸び悩んだことに加え、大規模なコンサート・イベント開催が少なかったことにあるという。 直近の状況を調べる限り、確かに開催は少ない。コロナ禍前の2019年に14件(嵐×3日間、サザンオールスターズ、星野源、東方神起など)2015年には44件も開催されていたライブ開催は、2023年には、B'z、DREAMS COME TRUE、back numberなど6件のみ(いずれも「ライブ部」調べ)。 今年(2024年)に至っては、2月の「QUEEN+ADAM LAMBERT」、3月の「SAPPORO MUSIC EXPERIENCE 2024(音楽フェス)」2件のみにとどまっている。高収益が見込める札幌ドームでのライブ開催は、コロナ禍前より激減、ファイターズ移転の穴をまったく埋めていない。 もとより北海道でのライブ開催は、何十台ものツアートラックや演者・スタッフが海を越えて大移動するため、採算ラインはグッと上がる。かつ、冬にはすぐ欠航する飛行機、収容力不足のホテル事情など…道外から足を運ぶファンからしても「ただチケットをとる」だけでは済まない事情が多い。ましてや札幌ドームは5万人以上を収容できるため、なかなか完売しない。 ここで札幌ドームは、これまで獲得できなかった1万~2万席のライブを誘致するために、半分ほどのスペースを昇降式の暗幕で仕切る「新モード」を導入。改装に約10億円を投じたものの、実際に利用されたのは23年11月の地元の吹奏楽イベント、24年2月のフェス開催のみにとどまっている。 難点は多々あり、「使えるスペースは半分でも、1日770万円の使用料は半額にならない(約577万円)」「黒幕で仕切っただけなので音響は全館に拡散され、管楽器のハーモニーが作りづらかった(吹奏楽イベント出演者の証言)」などの声も。 なお、どちらも新モードの使用実績のためにイベントを開催しており、いわば「身内のイベント」。収益向上にあまり繋がっていないと見られる。 また、現状でライブ会場は「北海きたえーる(北海道立総合体育センター)」「真駒内セキスイハイムアイスアリーナ」(8000~1万人収容)などがあり、暗幕で仕切らなくても適度に広く、ちゃんとした音響でライブができる。 各アーティストの傾向を見ると、東京・大阪・名古屋などではドームでライブを開催していても、北海道では「きたえーる」「真駒内」どちらかで2公演、3公演といった場合も多いようだ。