最強断熱賃貸、氷点下の北海道ニセコ町でも冷暖房費が月額5000円! 積雪2.3mまで耐える太陽光パネル搭載も3月に登場
ここ数年、夏の暑さも冬の寒さも厳しく、電気や灯油、ガス料金の高騰による冷暖房費のアップが家計を直撃している。そんな今、注目したいのが冷暖房費や光熱費が共益費に含まれ、一定額でまかなえてしまう賃貸・分譲集合住宅。しかも、その料金は一般の住宅に比べかなり安いそう。「来月のエアコン代はいったいいくらになるのだろう」という心配から解放される、住まいの仕組みについて取材した。
冬の平均気温が氷点下の北海道ニセコ町に、エアコン1台、一定額で暖房費がまかなえる賃貸集合住宅が誕生
スキーリゾートとして世界的に注目を集める北海道ニセコ町。冬季(12月~3月)の平均気温は氷点下で、1月は平均マイナス6度まで下がる。エアコンは暖房にはパワー不足。多くの家が灯油ファンヒーターを使用している。中には、冬のはじめに点火をしたら、春が来るまでスイッチは切らない、という家も。その結果、このエリアの一般的な木造一戸建てでかかる暖房費は月3万~4万円程度。広さや暮らし方などによっては月5万~7万円というケースもある。 そんな厳しい気候のニセコ町に、「家庭用のエアコン1台で住戸全体の室温・湿度を快適な状態に管理し、エアコン代は共益費に含まれる」、という賃貸集合住宅「NISEKO BOKKA(ニセコ ボッカ)」がある。なぜエアコン1台で済むのか。なぜ、共益費で冷暖房費がまかなえるのか。
世界水準の高断熱・高気密の集合住宅だから、少ないエネルギーで室温の快適性を保つ
この賃貸集合住宅の実現をサポートしたのは、まちづくり会社・ニセコまちだ。同社取締役の村上敦さんに話を聞いた。 「ニセコ町(ちょう)は2014年に環境モデル都市に認定、2018年にはSDGs未来都市にも選定され、早くから環境への負荷を低減するための取り組みを行っています。また、世界から移住先として人気を集める中、人口増に対して町営住宅や民間の賃貸・分譲住宅の供給が追いつかず、慢性的な住宅不足という課題もあります。これらに対応するため、ニセコ町、地元企業、専門家集団が出資し、官民一体で立ち上げたのがまちづくり会社・ニセコまちです。ニセコ町は、立地条件などから再生可能エネルギーの活用が難しく、大規模工場が稼働するようなエネルギー消費の大きな産業もありません。町内でのエネルギー消費の多くは一般家庭やホテル、公共施設などの建物由来です。二酸化炭素排出量を減らすには、断熱性を高めた建物の供給がカギだと確信しています」(村上さん)