期待の19歳、南野はザックJに生き残れるか?
合宿初日を怪我で別メニュー
冒頭の15分のみをメディアに公開する予定が、一転してすべてが披露され、つめかけたファンのためにメインスタンドまでが開放された。7日、千葉県内で始まった日本代表候補合宿。ピッチの上に、U‐19代表世代から2階級を飛び越して抜擢されたホープ、FW南野拓実(セレッソ大阪)の姿はなかった。 前日7日に行われた柏レイソルとのリーグ戦で右足首を負傷。後半33分にベンチへ退いていた南野は一夜明けて、滞在先のホテルでアイシングや電気治療などを施したが、大事を取って別メニューに終始。無念の合宿初日となった。 約1時間の練習を外から見つめた南野が淡々とした口調で語る。 「(練習前の)ミーティングでは、ざっくりですけど、攻撃と守備の約束事を伝えられた。それらを理解して覚える段階。だからこそ今日はグラウンドに出て、体を動かして覚えたかった。今日も無理をすればできた。明日からは大丈夫です」 17歳でJリーグデビューを果たし、セレッソでレギュラーを獲得した昨シーズンは新人王にあたるベストヤングプレーヤー賞を獲得。U‐19代表、リオデジャネイロ五輪出場を目指すU‐21代表の両方で主軸を担い、A代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督をも魅了した南野の魅力はどこにあるのか。 元日本代表MFで、現在は解説者を務める水沼貴史氏の目には「ゴールへの意識を強く感じさせる選手」と映っている。 「ゴールを奪うために何をするべきか。ピッチの上で見せるテクニックやスピード、ドリブルのすべてがゴールから逆算されている。そうしたほとばしりが非常によく見える選手。だからこそ、年代別の代表チームで結果を残し、若いタレントが多いセレッソで頭角を現すことができた。セレッソではワイドで起用されていたので、レヴィー・クルピ前監督によって守備への意識も高められたと思う」 ザックジャパンの2列目は左から香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、本田圭佑(ACミラン)、岡崎慎司(マインツ)で固定されてきた。よほどのアクシデントがない限り、6月の本大会でもこの3人が先発に名前を連ねることになる。 その一方で、どうしてもゴールが欲しい場面で、グループよりも「個」の力で状況を打開できる「ジョーカー」となりうる人材を、ザッケローニ監督はチームを立ち上げた直後から探し求めてきた。