期待の19歳、南野はザックJに生き残れるか?
自分が失うものはない
約束事が多岐に及ぶザックジャパンでは、選手同士の熟成されたコンビネーションが必要となる。もっとも、局面を「個」の力で打開できる選手は例外となる。水沼氏は言う。 「例えばドリブラーなら、ボールを渡せば何とかしてくれるとなる」 5月12日の代表発表まで、残り1か月あまり。その間に行われるJ1は8試合。アピールの場も決して十分ではない。状況的には厳しいと言わざるを得ないが、それでも南野は「W杯」という言葉をはっきりと口にした。 「W杯まで時間も短いので、自分のできることをやるだけです。(9日の)練習試合が勝負。そこで自分を表現できれば。全力でやり切って、初めて見えてくるものがあると思っているので。どんどん自分を出して、セレッソにいいものを持ち帰りたい」 セレッソのチームメイトであるDF山下達也とMF長谷川アーリアジャスールしか、知っている顔はいない。FW柿谷曜一朗やMF山口蛍は、常連ということで参加を免除されている。ザッケローニ監督とは、挨拶を交わした程度で初日を終えた。 独特の雰囲気に臆することはないのか。メディアからの問いを、19歳は言下に否定した。 「グラウンドに入れば関係ないですし、自分には失うものはありませんから」 端正なルックスに負けん気の強さを同居させながら、南野は合宿2日目からの巻き返しを誓った。 (文責・藤江直人/スポーツライター)