子どもにスマホをいつ持たせる?寝るのは何時?名門小学校・前校長が教える、「家庭内ルール」を守らせるポイント
◆親が子どもに気を遣わせていませんか 6歳までは伸び伸びと育てられていたお子さんが、小学校に入ったとたんに萎縮してしまうことがあります。たいていは親御さんが、点数至上主義である場合が多いようです。 テストの結果だけを見た親はがっかりして、思わず顔に出してしまいます。子どもは、親をがっかりさせたことで悲しい気持ちになるので、悪い成績をとったときは、内緒にしようと考えます。 子どもにそんな気を遣わせてはいけません。よい成績をとろうと、たまたま点数が悪かろうと、あなたのことが大好き、という気持ちをいつも忘れないでください。 親のほうは、わが子がよくない成績表を持ち帰ると、この子には才能がないのか、それとも素質が悪いのかと悩んでしまうかもしれません。 覚えておいていただきたいことは、学力は才能や素質ではないということです。 人間が本来備えている知能に大きな差はないと言われます。だれでも努力し、やり方を工夫すれば学力はつきます。つまり、学力のあるなしは、やったかやらないかの差なのです。 誰でもきちんと時間をとって勉強すれば学力はつきますし、勉強しなければ学力はつきません。 もちろん要領の善し悪しや性格による違いはあります。短時間で勉強ができ、学習内容が記憶によく残るタイプと、時間がかかり記憶に残りにくいタイプとがあるのは確かです。 しかし、前者のタイプの子も、だんだんと内容が複雑になるとそれまでのように短時間で理解できるというわけにはいかなくなります。中学・高校・大学と高度な内容を学習するようになれば、だれでも時間をかけて積み重ねる勉強が必要なのです。
◆「なぜ勉強するの?」への答えは 多くの子どもにとっては、ゲームやマンガ、テレビのほうが面白いですし、勉強はつまらないこともあるし、やらなければ成績が下がり、余計につまらなくなるという悪循環にも陥ります。 子どもたちも「なぜ勉強するの?」と疑問をぶつけてくるようになります。 なぜ勉強するのか。それはたくさんの知識を身につけて、困ったことに出会ったときに、どうにかこうにか切り抜ける知恵を持てる人間になる、自分の幸せを見つけられる人間になるため、というしかありません。 これはかなり概念的な説明なので、子どもにはわかりにくいでしょう。 だからといって、いい学校に入って、いい仕事につけば、お金持ちになれる、という説明をしてしまうと、お金持ちになるために勉強するという論理になってしまいます。 何のために勉強するのかという質問に、うまく答えるのは難しいことです。なぜなら、その子によって、そして育った家庭によって答えが変わってくるからです。 自信をつけるため、努力することを身につけるため、豊かな人生を送るため、などなど、その子の発達過程を見極めながら、その子にとって今、どういう表現が適切なのかを考えて、親子でそのときの暫定的な結論を出してみていただきたいと思います。 その答えこそがまさに「生きる力」を備えるためではあるのですが、その概念が理解できるのは、大人になってからです。そこが厄介であり難しいところです。 ※本稿は、『心を育てる中学受験-全員が中学受験する洗足学園小学校が大切にしていること』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
吉田英也
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