クラブ愛と費用対効果のあいだ――ガンバ大阪のスポンサーとして
営業部のパートナー
インタビュー中、「お金を出しているというよりも、クラブと一緒にお金の使い方を考えているような感覚」と語る岸本から見返りを期待する言葉は一度も出てこなかった。話す言葉はどれも当事者……まるでクラブスタッフのようだ。 元々サポーターであるバックボーンこそあれ、そこまで献身的になれる理由は何なのかを問うと「確かに広告効果をさほど期待できない三田市の病院が協賛をするのは特殊だと思われますよね」と苦笑いを浮かべつつ、ある人物の名前を挙げた。 「ガンバが負けると伊藤(慎次)さん(ガンバ大阪 営業部 部長)や、2022年から当院を担当してくれている山崎(勇二)さんら営業の方々の顔が浮かんでくるんですよ。彼らが悪いわけではないのに『負けて申し訳ございません』って悔しそうに謝られて……。けど、勝った時は『あのプレーが良かったですよね!』とすごく嬉しそうで(笑)。そういう営業部の皆さんの影響を受けているところはあるかもしれないですね。ガンバ大阪のスポンサーを務めているというよりも、“営業部のパートナー”の方が実感としては近いかもしれません」 スポンサー活動は『沼』だという。どれだけ負けても放っておけない。あまりにも負け続けると「もうええわ」と思う時もあるが、気が付けば翌週もスタジアムに足を運んでしまう。仮にガンバ大阪が昨シーズンJ2に降格していたとしても、2年間は同額の協賛金を出すことは心の中では決めていた。 「どっぷりはまって、引き返せなくなりました(苦笑)」 インタビューの最後、密かに検討している今後のビジョンがあることを教えてくれた。 「クリニックを引退した時に残ったお金をつぎ込んで、超VIP待遇な1シーズンを過ごしてみたいんです(笑)。スタジアムの真下の駐車場に車を停めて、夏場の暑い時はラウンジで涼みながら観戦して、美味しいご飯を食べて……まあ、家族が許してくれない気もしますけどね(苦笑)」