クラブ愛と費用対効果のあいだ――ガンバ大阪のスポンサーとして
迷いと葛藤のSNS運用
ファラオ様は普段、経理部で働いている。 古代エジプト王の名前に由来する『廃車王 大阪南店』のイメージキャラクター『ファラオ』はカジュアルなSNS運用で少しずつ知名度を高めてきた。同社がスポンサーを務めるガンバ大阪に関する話題を中心にサポーターと積極的に交流。神々しいビジュアル(アイコン)の影響もあり、「ファラオ様」の愛称で親しまれている。 そんなファラオ様の世を忍ぶ仮の姿は、車の解体や中古パーツの販売を行う『廃車王 大阪南店』で働く田中満夕子。「パナスタでガチャガチャをめっちゃ回している姿を見られたくないから」顔出しはNG。2011年に子供とのサッカー観戦をきっかけとしてガンバ大阪を好きになり、現在は年間パスを保有するプレミアムメンバー(最上位ファンクラブ会員)で、倉田秋選手が好き。自他ともに認める熱心なサポーターでもある。 ガンバ大阪サポーターであることを買われ、同社のスポンサー活動を発信するSNS運用を任されているが、本人は「正直に言うと、めちゃくちゃ悩んでいる」と語る。 「私、普段は経理の仕事を担当していて、広報の経験はないんです。だから、SNSもファラオというキャラクター設定で運用を始めたものの、『王様口調がいいのかな』『です・ます口調がいいのかな』と葛藤だらけで迷子です(苦笑)」 ただ、手応えを感じる時がない訳ではない。田中が最も印象に残っている施策として挙げたのは、昨シーズンの最終節、パナソニックスタジアム吹田で開催されたヴィッセル神戸戦前に出展したブースでの抽選会だ。 「オンラインでは『もっと拡散して欲しいな』『フォロワー増えへんかな』と思っていたんですけど、最終節のブース抽選会にビックリするくらいの人が並んでくれたんです。SNSでも多くの方がブースに参加したことを投稿していただけて。一緒にスタジアムに来ていた社長も『うん、うん』と満足そうな表情をしていたので良かったなと(笑)。売上には直結しないかもしれませんが、こうした形で反響を実際に目にできると、会社としてもスポンサーを継続する重要な要素になります」