流経柏高時代の聖地で躍動…好調京都のハイラインを熱く支える“171cmのCB”宮本優太「ここで負けるわけにはいかないと」
[9.18 天皇杯準々決勝 千葉 0-3 京都 フクアリ] Jリーグ登録171cmのセンターバックが、高校時代の聖地・フクアリで躍動した。 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 京都サンガF.C.のDF宮本優太は天皇杯準々決勝・千葉戦に右CBでフル出場。流通経済大柏高の先輩にあたるFW呉屋大翔とのマッチアップで優位に立っただけでなく、京都での公式戦出場経験の少ないDFルーカス・オリヴェイラを従えるラインコントロールで強気のハイラインを貫き、相手にほとんどチャンスを作らせないまま無失点に終えた。 本職はSBの宮本だが、今季途中から本格的にCBのレギュラーに定着。J1リーグ戦で11試合に先発し、その間チームは6勝2分3敗、それも直近5連勝中と好調を保っていることで不動のレギュラーとしての地位を築きつつある。 その現状について宮本は「シーズン当初は全く思っていなかったのでびっくりはしているけど、試合に出られるありがたみを感じながら必死に食らいついている感じ」と自己評価。だが、この日のパフォーマンスからはむしろ自信すら感じさせていた。 CBで相方を務めたルーカスは昨季ラ・リーガ2部のバジャドリーでボランチの主力を担い、1部昇格に導いた大物だが、今夏の京都にレンタル移籍で加入して以降は出場機会が天皇杯のみ。リーグ戦では32歳ベテランのDF鈴木義宜とコンビを組んでいることもあり、ラインコントロールは「任せてしまう部分が多少はあった」という宮本だが、この日は相手のボールホルダーの状況が変わるたびに熱いジェスチャーと大声で統率し、強気にリーダーシップを取っていた。 その結果がチャレンジングなハイライン設定だった。 「ハーフタイムにもミサくん(左SBの三竿雄斗)とルーカスにはしつこく言って、(最終ラインは)もうちょっと下げてもいいと思ったけど、下げると時間帯が最後になってもっと低くなると思ったので、できる時はもっと上げようと思った。しつこく言ってチームがいい方向に行けばと思って言っていた」 そうした中、自身は相手の潰し役を担いながら指示役もこなすというマルチタスクとなったが、ボランチ出身ならではの状況判断力で大ピンチは作らせず。「ルーカスとの試合が初めてだったので色々と難しい部分があると思っていたけど、声を掛け合いながら、ルーカスも自分に声をかけてくれていたのでそこまで不安なく90分間コミュニケーションを取れた」と手応えの一戦となった。 宮本自身はCBで好調が続いていることについて「結果的にそうやって見られているけど、僕だけの力じゃない。前の選手が点を取ってくれるし、横の選手がカバーしてくれる。自分がスポットライトを浴びているような感じなだけで、みんなのおかげだと思う」と謙虚に語る。 それでも最終ラインに宮本のような盛り立て役がいることで、チーム全体の活気や勢いにつながっている側面があるのも確か。その成果が「本気でタイトルを取りに行こうと話して臨んだ試合だった。それが重荷になってしまうと良くないと思ったけど、おのおのもタイトルを取りに行きたいともともと思っていたのがこの勢いにつながっている」という天皇杯の舞台でも遺憾なく発揮されていた。 また宮本にとってはこの日、もう一つ負けられない理由があった。会場のフクアリは流経大柏時代に数々のビッグマッチをこなした場所。流通経済大時代には2部降格という悔しい思いでも残る地だが、「僕としても高校時代に何度もお世話になったピッチで、ここで負けるわけにはいかないと思っていた。しっかり勝ててよかった」と充実の表情で振り返った。