始まりは15坪の小さな店…脱サラした夫と地方で創業 40年かけて売上高92億円の人気雑貨店を築いた社長の経営術
全国に34店を展開するギフト・雑貨店「アミング」
ギフト・雑貨店を展開するアミング(石川県金沢市)社長の西江あきよさん(65)は、長野県松本市出川1に11月末、「アミング松本庄内店」をオープンさせた。夫婦で創業し、40年で全国34店に店舗網を広げた。中高年女性を中心に人気を集める秘密は、大型量販店の商品棚にある物や、百貨店の高級ブランド品とは違う、原材料や使い勝手にこだわった品ぞろえだ。「手に届く暮らしの幸せ」をコンセプトに掲げ、「お店を日常の中にあるアミューズメントパークのような場所にしたい」と話す。 【社長はこんな人】アミングの社長・西江あきよさん
始まりは15坪の小さな店、夫と創業
アミングは、1984(昭和59)年に金沢市郊外で15坪(約50平方メートル)の小さな店として開業した。義父が経営していた漁網工場が移転し、空いた場所で何かしないかと誘われ、現会長で夫の整(せい)氏と一念発起。システムエンジニアだった整氏は退職し、自身はピアノ教室を辞めて2人で店を始めた。
品ぞろえに注力、オリジナルブランドも展開
まず力を入れるのは品ぞろえだ。常温保存できる無添加マヨネーズなど、求める品質の商品が見つからない場合には自社開発する。洋服や雑貨の「HIYORI(ひより)」などオリジナルブランドも展開。「自分らしさにこだわった人を呼び込みたい」と言う。
毎週変える売り場
店内は来店者の心が躍るように工夫し、売り場を毎週変える「52週の売り場づくり」を実践する。結婚や出産、帰省といったシーンに合わせて人に贈りたくなる品を重視。中でも書き入れ時は「母の日」だ。松本市の新店舗では化粧品や衣料品、子ども用品や食品など約3万点を販売。オープンから、クリスマス飾りの関連商品に力を入れた。
ターゲットは60、70代の女性
主に獲得を狙う顧客層は60、70代の女性。内閣府の推計では、2030年には65歳以上が全人口の3割超になる。若年層や現役世代には経済的に余裕がない人もいるが、親や祖父母と来店すると、買い物代を負担してもらうことが多い。
郊外を中心に全国に店舗拡大
現在、店舗網は北信越、北関東、東海、近畿地方に拡大し、近く奈良県にも初出店する。各店の売り場面積は250坪(約825平方メートル)ほど。郊外のロードサイドを中心に車通りが激し過ぎず、駐車場の出入りが楽な立地を選ぶという。従業員数は約750人となり、24年7月期の売上高は92億4300万円に上る。
従業員の成長を後押し
人材教育にも徹底して力を入れている。「働く人の人柄は、お客さまへのホスピタリティー(おもてなし)に欠かせない」と考えるからだ。毎月、働く上で大切にしてほしいことを自ら従業員に伝える「心の勉強会」を開き、仕事を通じた従業員の成長を後押しする。 「困ったり、壁にぶつかったりしたら本を読む」。故稲盛和夫さんの著書は何度も読み返している。「日本中に100店出すのが夢」。金沢市在住。65歳。