大神いずみ「野球少年の息子たちに、父・元木大介は〈道具の大切さ〉を教え込む。シューズの砂を出してなくてスタメンを外される世界」
◆怪我の功名 もう野球を始めてかなり経つのに、いまだに道具の手入れのことでは叱られることがある息子。 でもこの度はさすがに痛い思いをしたようで…今までにも増して道具の手入れには細心の注意を払うようになった。怪我の功名。 まだまだ…この先野球の道はまっすぐ平らではなさそうだ。 こんなことを毎週毎週毎週毎週やっているような気がしてならない。 私もため息は出るけれど、なぜか逃げ出したいとは思ったことは一度もないのが、この野球生活。 きっと時々、ため息も吹っ飛ぶような「いい思い」もさせてもらえるからかもしれないな。 気がつけば瑛介の中学野球も、この夏で折り返し地点を過ぎた。早い。この前チームを悩んで悩み抜いて入団したばっかりやのに。 さあ、いよいよここから始まるのだ! ジェットコースターに例えて言うなら、長い長い列に並んでさあ、自分たちの乗車の順番がやってきた。 安全バーが下りてカタカタとレールの一番高いところまで登り詰めたら、ここから一気にコースを滑り降り、息つく間もない急速アップダウンが始まるのだ。 どれだけ右に左に体が振られて、逆さまにも斜めにもなりながら加速スピードに乗っていくのか。 きっと終わってしまえばほんの一瞬だったように思えるのかな。 このスリル、ホコリに塗れながらなんだか命がけで楽しんでいるような気がしてならないのは、わたしだけでしょうか。
大神いずみ
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