大神いずみ「野球少年の息子たちに、父・元木大介は〈道具の大切さ〉を教え込む。シューズの砂を出してなくてスタメンを外される世界」
◆そこを父親は許さない ドロドロに疲れてお腹もペコペコなので道具を後回しにしたいのはわからんでもないが、そこを父親は許さない。父がいない時に磨き忘れていようものなら、私より甲高いサイレンのような声で息子は叱られている。 なので車を降りて車庫で練習着を脱いで家に入る息子は、パンイチで玄関に座って背中を丸めながらスパイクとグローブを磨くのだ。 何て光景。 でもそれくらい道具を大事にしろよ、と言うことらしい。 これはたぶん野球人にとっては常識なのであって、プロもアマチュアも関係なく、年齢やチームに関係なく、指導者から必ず教わっているのだ。 ちなみに夫はゲーム中、凡退してバットに当たり散らし地面に叩きつけたりする選手、道具に当たる選手が大嫌い。 家にたくさんあるグローブを一つ一つ訊ねると、まるで人みたいに「あの時」「あの試合で」「こんなプレー」の話がはじまる。よくもまあそんなに細かく覚えているもんだと感心してしまう。 道具を大事にしない野球人は、いないはずなのだ。
◆きっと「何かやらかした」 先日行われた試合で、瑛介は試合前に発表されたスタメンから外され、試合中ずっとベンチに中腰で控えていた。 最初何が起こったのかわからなかったが、きっと「何かやらかした」ことだけは確信した母は、生きた心地がしないまま川原の遠くを見つめていた。 あとで理由がわかった。 「スパイクを磨いていなかった」のだ。 へ!?確かに前日の夜、瑛介がパンイチで玄関に座ってブラシでシャーシャーとスパイクを磨いていたのを母は見ていた。 どういうことかと聞いたところ、 どうやら今回試合の前にスパイクをチェックされた際、外側はいつも通り拭きあげていたが、前日の試合でスパイクの中敷きの中に入りこんだ砂をそのままにして履いていたらしい。逆さまにしてザラザラ~っと砂が落ちてきた選手がもれなく外されたのだという。 まさか,そんな土が入ったまま平気で履いていたのかスパイクを!?気持ち悪くないのか!? 結構な量の砂が中敷の下に入り込むのはよくあることなんだとか。そこは磨く時に中の土をしっかり取り除かなくては。裏返してトントン、くらい…しなかったんだなウチの息子。 甘いのだ。「磨いた」つもりでも、やっぱり道具の手入れが甘いということだ。 厳しいようだが、中途半端な手入れをして「やりました」と言うのは通用しない。 父はその時出張でいなかったのだが、たぶんいても同じように厳しく厳しく叱ったんだと思う。
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