加速が悪い!? 最高速が落ちた!? スクーターの定番トラブルを解消しよう【ヤマハシグナスX】
クランクシャフトの回転による遠心力を利用して、スロットルをひねるだけで発進から最高速まで滑らかに速度を調整できるスクーター。その心臓部である駆動系は、原付から250ccクラスまで基本的な構造は同じです。信号待ちからの発進加速が悪くなった。最高速度が落ちてきた。そんな時にはクランクケースカバーの奥に潜む駆動系の摩耗や消耗をチェックしてみましょう。 【画像】メンテナンスのポイントや手順をギャラリーで見る(19枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
ウェイトローラーの偏摩耗とVベルトの消耗が駆動系トラブルの2大原因
シフトペダルを操作しなくても、発進から最高速まで無段階に加速、減速するのがスクーターの駆動系の特徴で、それを成立させているのがフロントプーリーとリヤプーリー(クラッチ)、両者をつなぐゴム製のVベルトの3要素です。 エンジンのクランクシャフトに直結されたフロントプーリーは、エンジン回転数の増減に応じて内部を移動してプーリー溝の幅が変化します。プーリー溝にはVベルトが挟まっており、ベルトの直径はエンジン回転数が低い時は小さく、回転数が高くなると大きくなります。 Vベルトの長さは一定なので、フロントプーリー側の直径が大きくなればリヤプーリー側が引っ張られます。するとエンジン回転数が低い時は大きかったベルトの直径が徐々に小さくなります。 変速機付き自転車のリヤスプロケットでも低速走行では歯数が多く、速度が上がるにつれて歯数の少ないスプロケットを選択するように、速度を上げるためにリヤプーリーの直径を小さくする目的で、フロントプーリーの直径を大きくしていると言っても良いでしょう。 エンジン回転数に応じてフロントプーリー溝の幅を変えるために、プーリー内部にはウェイトローラーが内蔵されています。このローラーが遠心力でプーリー内部を外側に移動することで溝の幅が狭まり、溝に挟まったVベルトが外側に押し出されていきます。 こうした原理で変速を繰り返す間、ウェイトローラーには常に摩擦力が加わり、走行距離が増えることで真円だった外周が偏摩耗します。 偏摩耗したウェイトローラーは、エンジン回転数の変化に対するレスポンスの悪化、プーリー幅のスムーズな変化を妨げる原因になります。扱い方によって摩耗するスピードはまちまちですが、プーリーとウェイトローラーの構造上、摩耗は避けられません。 Vベルトも摩耗、消耗するパーツです。前後のプーリーに挟まれて斜面を登ったり下ったりしながら回転しているVベルトは、徐々に両側面が摩耗して幅が狭くなります。 フロントプーリーの溝は、最も狭まった時の幅が決まっておりVベルトが新品の時に最外周に上るよう設計されています。 しかし摩耗によって幅が狭くなると、プーリーの溝が狭くなっても外周まで上がらず、その結果最高速度も低下します。ベルトの摩耗もウェイトローラーの摩耗と同様、摩擦を利用している以上は避けられません。 裏を返せば、加速が悪くなったり最高速が伸びなくなってきた時には、真っ先にウェイトローラーとVベルトを疑えば良いと言うことになります。
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