中国全土に新たな収容施設、汚職への粛清拡大で建設相次ぐ
柔らかいパッド入りの部屋
入札公告の分析から、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の期間は建設が止まっているのが分かる。しかしプロジェクトの数は23年と24年に再び増加している。少数民族の割合が高い省や地域ではより多くの収容施設が建てられ、より多くの資金が割り当てられている。 政府の告知によると、北西部の寧夏回族自治区にある石嘴山市は18年、7150平方メートルの「留置」用施設の建設を承認された。予算は2000万人民元(現在のレートで約4億3000万円)。同自治区はイスラム教徒の少数民族、回族の中核地域として公に認められている。 当該の文書は、施設の内部に関する希少な情報を伝える。それによると全ての監房、取調室、診察室は壁や戸棚、テーブル、椅子、ベッドを全面パッドで覆い、端は安全のため丸くしておかなくてはならない。 電気配線やコンセントはむき出しであってはならず、床は表面に滑り止め加工を施さなくてはならない。天井に設置された監視カメラ、電灯、換気扇、スピーカーなどの機材は、「首が吊(つ)れない設計」としなくてはならない。トイレの洗面台とステンレス鋼の便器も、全面にパッドを当てなくてはならない。一方でシャワーヘッドと監視カメラは天井に据え付けられた状態とする。 こうした安全を最大化する特徴を施すことには、収容者が自ら命を絶つのを防ぐ目的がある。収容者の自殺という問題は、「双規」での収容時に長く付いて回った。 しかし石嘴山市の「留置」センターは、収容者の流入に対して規模が小さすぎることが明らかになった。昨年6月、市は新たな公告を出して施設の拡張を模索。「不十分な施設と設備」の問題に対処しようとした。計画には尋問のための建物と職員用の食堂の新設に加え、既存の建物内の配置を見直して監房を増やす措置も盛り込まれた。 共産党は「双規」による拘束に関する公式の数字を発表したことがなく、「留置」の数字についても同様に捉えどころがない。唯一全国的なデータが確認できる23年には、2万6000人がNSC並びに各地に展開するその支部により拘束された。 省のデータは完全ではないものの、それでも拘束件数の急激な増加が見て取れる。北部の内モンゴルでは、18年に「留置」で拘束された人の数が17年に「双規」で拘束された人数の17倍に上った。同地域の監察委員会が明らかにした。 当局は「留置」用施設の基準となる建設規則を制定していたようだ。そこにはこれらの施設を23年から27年にかけて建設するとの全国的な計画も含まれており、CNNが目を通した政府文書や入札公告で再三引用されている。 北西部の甘粛省にある全国で有数の貧しい都市、定西市は、3億500万人民元規模の収容施設をCCDIとNSCが指定した要件に従って建設するとした。「留置」用施設として「標準化され、法に基づいたプロフェッショナルな運営」を目指すという。 この巨大な施設には542の部屋があり、そこに32の大監房と住み込みで勤務する捜査官及び看守の宿泊場所を含む。彼らの日々の必要を満たす他の設備も設置される。同市の反汚職部局が作成した24年の予算で明らかになった。