23歳で早世した京大院生・山口雄也さん 自らドナーとなって支えた母親の無念と感謝
父が引き継いだツイッター
雄也さんのツイッターはフォロワーが約9万人いる。閉鎖はせず、睦雅さんが引き継ぎ、「雄也通信」をときどき発信している。8月6日には、雄也さんと同じ高校の陸上部で、2学年上の山西利和選手が東京オリンピックの20キロ競歩で銅メダルを獲得したことを喜び、「雄也もきっと側で応援していたでしょう」と記している。
そのほか、初盆に友人や恩師から花のお供えをもらったことなどが語られている。睦雅さんは今の思いをこう話す。 「雄也はSNSで多くの人から応援してもらっていました。私たちもリプライを読んで励まされています。雄也が残してくれたたくさんのつながりに感謝しています。雄也がブログに書いた献血推進の記事を読んで献血したという話に接すると、『雄也も喜んでいるだろうな』と思います。【雄也通信】はこれからも続けていくつもりです」 七美さんも同じ思いだ。 「雄也は『生きた証しを残したい』との思いで、ブログやツイッター、著書にたくさんのメッセージを残しました。それらを読んでくださり、ときどき雄也のことを思い出してもらえると、親としてもうれしいです」
山口雄也(やまぐち ゆうや) 1997年、京都市生まれ。2013年、京都市立堀川高校に入学、2016年、京都大学工学部地球工学科に入学。11月に縦隔原発胚細胞腫瘍を宣告され、切除手術。18年6月に急性リンパ性白血病と診断され、10月骨髄移植を受ける。19年4月白血病再発、母親がドナーとなりハプロ移植を受ける。12月に再再発も、がん消失。20年12月急性骨髄性白血病と診断され、21年3月ハプロ移植を受ける。4月京都大学工学部大学院に入学、6月6日死去。 --- 庄村敦子(しょうむら・あつこ) フリーライター。大阪市生まれの九州・四国育ち。青山学院大学文学部卒業。主に医療、教育、医学部関連の執筆活動を行う。