石破新総理が「天才」と思った女性芸人の名は 「早朝にテレビでネタを見て……」
総理が派閥から離れる原則
――そういう場で思ったこと、信じるところを言う方針は変わらないと思いますが、最近は、総理は派閥から離れるべきだ、といった発言が報じられていました。あれはどういう意味でしょうか。 石破:菅義偉前総理がそういうことを仰ったということで、私も意見を聞かれたので、思うところをお話ししました。 もともとかなり前から自民党では党三役と総理は派閥から離れるというのが慣例になっていました。 自民党が下野していた時期、谷垣総裁の下でそのような申し合わせがあったと記憶しています。派閥への厳しい世論を考慮したという面もありました。 その後、政権復帰してからは党三役こそ派閥の長が務めることはありましたが、総理が派閥から離れるという原則は守られてきました。安倍元総理もそうなさっていました。 ――素朴な疑問としてなぜ離れなければいけないんでしょうか。世間体ですか? 石破:いや、やはり強い権限を持っていると、どうしても自分の派閥に有利にことを進めたりすることが起こり得るわけで、それは避けねばならない、ということです。
派閥の意味
――そんな面倒な申し合わせをするくらいならば、派閥をなくしたほうが早いのではないでしょうか。 石破:それはどうでしょうか。人間が3人いれば派閥ができるなんていう言い方もあるくらいですから、そう簡単ではないでしょう。どの会社にでも派閥めいたものはあるのでは。 また、自民党の派閥には本来は重要な役割があったはずです。 一つは「政策集団」として機能するということ。与党で予算編成に関わる立場だと、どうしても直近の課題に取り組まなければならないという面があります。2~3年先くらいまでのことですね。 もちろんそれは大切な仕事なのですが、一方で政治家はもっと長いスパンの問題、中・長期的な課題も考える必要があります。その場として派閥は機能していたのです。 たとえば私がかつて所属していた田中派は「木曜クラブ」として知られていますが、同じメンバーで「新総合政策研究会」というものも存在していて、月1回は必ず勉強会を開いていました。 このところ話題になることが多い防衛や子育てといったテーマは、急いで対処すべき問題もあるでしょうが、中・長期的な視点での深い議論が絶対に必要です。派閥はそのような役割を果たすことを求められていると思います。 もう一つ、政治家教育の場としての機能も求められているはずです。当選して間もない議員に政治家としての基礎を教える。私も田中派で多くのことを学びました。 最近、続けざまに大臣が辞めることがありましたが、こういった教育の場がきちんと機能していないのではないかと、同じ党に所属する議員として申し訳なく思います。 *** 安倍派などの「裏金」問題が本格的に問題視されるようになったのは、この年の末のこと。岸田前首相の決断により、派閥はほぼ無くなったことになっているが、「教育の場」をどう作るのかについてはまだ道筋が見えていない。これもまた新総裁の仕事になるのだろうか。
デイリー新潮編集部
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