韓国“大混乱” 45年ぶり「戒厳令」なぜ
国会に突入する韓国軍の様子が公開されました。 【画像】スーツ姿の男性が柵を乗り越えようと…市民が手助け
■韓国軍が国会に“突入する瞬間”
サッカーのグラウンドに着陸した軍用ヘリからは、次々と兵士が展開。銃で窓ガラスを割り、建物内へと入っていきます。 兵士らが侵入したのは韓国の国会議事堂です。 議事堂周辺に軍が出動し、市民がそれに対峙する…かつての軍事政権時代をほうふつとさせる事態です。 そのきっかけは3日午後10時15分ごろ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が緊急談話で宣布した「戒厳令」です。 尹大統領 「私は、自由大韓民国を北朝鮮共産勢力の脅威から守り、わが国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な親北朝鮮反国家勢力を根絶し、自由な憲法秩序を守るため非常戒厳を宣布する」 韓国で戒厳令が出されるのは、まさに軍事政権時代。当時の朴正煕(パクチョンヒ)大統領が暗殺された際の1979年以来45年ぶりのことです。 尹大統領による戒厳令を受け、韓国軍では戒厳司令部が組織され、布告令が発表されました。 その内容は国会と地方議会、政党、デモなどの活動を禁じ、すべての報道と出版を軍が統制するというもの。これに対し、野党「共に民主党」の代表は、こう述べました。 李在明(インジェミョン)代表 「まもなく戦車や装甲車、銃剣を持った兵士が国を支配することになる。市民のみなさん、国会に来てください。私たちと共に、壊れゆく民主主義を守ってほしい」 軍は国会の機能を停止させるため、議事堂を制圧しようとしますが、集まった市民は体を張り、軍の侵入を阻止しようとします。 市民 「どういうこと?」 市民ら 「尹錫悦を弾劾(だんがい)しろ!」 また、議事堂の中では、国会の職員たちでしょうか、やはり軍が入ってくるのを防ごうと腕を組んで人間の鎖をつくり、棚やソファーでバリケードを築きました。 兵士の小銃につかみかかるのは、野党「共に民主党」の報道官です。 国会議事堂は、警察によっても封鎖されましたが、スーツ姿の男性が柵を乗り越えようとし、集まった市民もそれを手助けします。韓国の国会議員だと思われます。 軍が議事堂への侵入をしようとするなか、定数300のうち190人の国会議員が駆け付けたのです。 そして4日未明、190人全員の賛成で「非常戒厳」の解除要求決議案が可決されました。 李代表 「この戒厳令の宣布自体が、実質的かつ手続き上の要件を満たしていないため元々無効だが、国会の決議により、憲法違反かつ無効であることを最終的に確認した」 これを受け、尹大統領も未明に再び談話を出しました。 尹大統領 「国会からの戒厳令解除要求を受け、戒厳軍を撤退させた。国会の要求を受け入れ、閣議によって戒厳令を解除します」 1987年の民主化宣言以降初めて出された戒厳令は、わずか6時間で解除されました。