サヘルローズさん、無視や暴言…いじめの経験 「死にたい」と母に伝えたら… 「学校はすべてじゃない」
仕事中のはずの母、声を上げて泣いていて……
――それは苦しすぎますね……。 その時までは何とか耐えていましたが、でも、「もう死んで自分の存在を消すしかない」と思い詰めることが起きました。 理科の実験でバラの花を用意しなければならず、母に小銭をもらって買いました。一輪を手に理科室に入ろうとしたところ、いじめっ子が笑いをとろうとしたのか、私を蹴って、床に落ちたバラを踏みつぶしたんです。 ちょうどその時、理科の先生は廊下を通り過ぎ、全て見ていたはずなのに、何も言いません。授業が始まったらみんなに「花を持ってきたか?」と聞くので、私は「ありません」と答えると、「じゃあ、実験はできないな」って言うんです。 この時、初めて「死のう」と思いました。私の名前の由来でもあるバラをぺちゃんこにされ、自分自身が踏み潰された気がしたんです。 私の存在を誰も認めてくれないなら、自分で消したほうがいい……。そう決意し、家に帰ったんです。 すると、仕事に行っているはずの母がいて、枕に顔をうずめて大声を上げて泣いていました。私は自分のことで精いっぱいだったけど、母も職場で相当辛い目に遭っているんだと、その時初めて分かりました。 母は私の前ではいつもパワフルだったし、私が誰かの悪口を言うと、「自分の顔を鏡で見てごらん」って言っていました。 「人の欠点ばかり見る人は人相も悪くなるし、暴言を吐いた相手に同じような言葉を向けたら、結局そのレベルで終わってしまう」って。だから、私もどんなにいじめられても自分の感情を相手にぶつけることはしませんでした。 母はそれまでしんどいとかつらいと言ってくれなかったから、私も苦しいと言えなかったんですよ。でも今、その母が泣いている。その姿を見て初めて「死にたい」と口にしました。 すると母は「いいよ」と言ったんです。そしてこう付け加えました。「あなたの後を私も追っていい?」って。私を肯定してくれた最後の言葉に、安堵して母を抱きしめると、骨と皮ばかりでした。 自殺を思いつめた根底にある感情は、いじめっ子に対する復讐心や憎しみでした。でも、折れそうな母の体を抱きしめたとき、負の感情が消え、「私は母に何も恩返しをしていない」「生きているからこそできることがある」と気づいたんです。 私の一番の願望は母を幸せにすること。お風呂もトイレもない生活から抜け出し、1日3食しっかり食べられるような生活を送らせたいと思いました。