災害大国の日本 トイレ、キッチン、ベッド――避難所のTKBの改善が命を救う #災害に備える
災害関連死を防ぐ避難体制を
なぜ、災害大国の日本が避難所の対応では世界的に遅れているのか。日本では避難者を「助けてあげている」という色合いが強いことが一因だという。 「イタリアでは『避難者を一刻も早く日常に戻すことが国益にかなう』という発想です。早く職場に復帰して経済活動を担ってもらう。ご老人であれば、体調を悪くして医療費がよりかかることがないようにする。日本でも、こうした目的意識を国民全体で共有することが重要です。それがなければ防災備蓄のための予算を得ることもできないでしょう」(前出・榛沢氏) 日本では近年、台風や線状降水帯などの発生で水害が深刻化している。さらには南海トラフ地震や首都直下型地震の可能性も指摘されるなど、いつどこで災害に遭うかわからない状況だ。避難所への備えはこのままでよいのか。見直されるときが来ている。
------ 小川匡則(おがわ・まさのり) ジャーナリスト。1984年、東京都生まれ。講談社「週刊現代」記者。北海道大学農学部卒、同大学院農学院修了。政治、経済、社会問題などを中心に取材している。