なぜJ最年長出場記録を更新した52歳の三浦知良は引退したイチローへのメールを迷っているのか?
54分間の激闘にもたらされた“勲章”が、初陣を戦い終えた表情に刻まれていた。 待ち焦がれてきた今シーズンの初出場を約2年ぶりとなる先発で果たし、自身のもつJリーグ最年長出場記録を52歳25日に更新。1トップとして後半9分までプレーし、エースストライカーのイバと交代でベンチへ下がった三浦知良(横浜FC)は、おそらくは接触プレーを介して鼻のつけ根に負った痛々しいすり傷を、ちょっぴり赤く腫らしながらメディアの取材に応じた。 「監督からは『だいたい後半の5分から10分くらいまで』とは言われていたので。そこまではチームを勝ちにもっていける状況でイバと交代できたら、と考えていた。残念ながらゴールすることはできなかったけど、チームが勝つことがサッカーでは一番大事なので。0-0の状況で(バトンを)渡せたことで、最低限の仕事はできたかなと思う」 ホームのニッパツ三ツ沢球技場でFC岐阜を2-0で撃破した、23日の明治安田生命J2リーグ第5節。ここまでホームで2連敗を喫し、トータルでも1勝3敗と黒星が先行する苦境に陥ったなかで、横浜FCを率いるエジソン・アラウージョ・タヴァレス監督はカズを先発に抜擢した。 前半のキックオフを告げるホイッスルをピッチ上で聞くのは、カズにとっては2017年4月15日のFC町田ゼルビア戦以来であり、同年秋に就任したタヴァレス監督のもとでは、リーグ戦で通算51試合目にして初めてだった。昨シーズンはすべて途中出場で9試合、わずか59分のプレー時間にとどまった。今シーズンもベンチ入りは一度だけで、残る3試合はベンチにも入れない状況が続いていた。 一転して先発を命じられた背景には何があったのか。栃木SCの敵地へ乗り込んだ3月10日の第3節を前に、62歳のブラジル人指揮官はカズを遠征メンバーから外すと通告。その上で「残って来週以降のためにしっかりと調整しておいてほしい」と指示していた。 非情な言葉のように聞こえて、実はカズ自身もすんなりと受け入れられたと胸中を明かす。 「ベンチに入ると試合前日、当日、翌日の練習というのがどうしても……ベンチに入っただけで試合に出ないとか、ほんの少ししか出ないとロスが増えるというか。僕の場合は他の選手と違って、コンスタントに練習していかないと、反応が鈍くなったり遅くなったりする。もちろんやり過ぎはよくないけど、少しでもいいから毎日練習する方が大事なこともあるので」