W杯最終予選で中国を2-0で撃破した森保Jが手にした収穫とは?
しかし、後半13分を境にピッチ上の雰囲気が一変した。 大迫に代わって投入されたFW前田大然(24・セルティック)が、自慢のスピードを駆使して前線から相手を追い回す。そして前田と同時に、DF長友佑都(35・FC東京)に代わって入った中山が完璧なクロスからアシストをマークした。 敵陣の深い位置で得たスローインを自ら投げ、南野のリターンを受けてそのまま前へ出て左足を一閃。伊東のゴールを見届けると右手を埼玉スタジアムの夜空へ突き上げ、タッチライン際にいたリザーブの選手たちと喜びを分かち合った。 森保監督は4-3-3システムを継続した上で、負傷で選外となったセンターバックの二枚看板、吉田と冨安健洋(23・アーセナル)以外は不動の顔ぶれを先発に指名した。 もっとも、ベテランの長友と大迫に対しては限界説を含めた、ファン・サポーターの批判が集中していた。それでも采配が変わらない、まさに“アンタッチャブル”に映る2人に代わって入った前田と中山のがむしゃらさが空気を変え、待ち焦がれた追加点を導いた。 長友は5試合続けて中山との交代を告げられているが、この日の中国戦が一番早くベンチへ下がっている。大迫も然り。重い腰を上げた指揮官の期待に応え、競争という図式を手繰り寄せた点も、追加点以上にリザーブの選手たちを喜ばせた。 もちろん、チーム内にはいがみ合うような関係はない。ベンチへ下がったばかりの長友と大迫も、中山のもとへ駆け寄って抱きしめている。そして、中国の戦意を奪った伊東の追加点は、さまざまな付加価値を森保ジャパンにもたらした。 森保監督は後半28分に、遠藤に代えてMF久保建英(20・マジョルカ)を投入。同時に4-2-3-1に変わったシステムで、久保はトップ下として躍動した。 国際Aマッチ出場14試合目で初ゴールも、初アシストもお預けになったが、それでも昨年9月以来の復帰を果たした久保へ、指揮官も賛辞を惜しまなかった。 「建英(久保)が持っているエネルギーは素晴らしいものがある。ファン・サポーターのみなさんに、期待を抱かせるプレーができる選手だとあらためて思いました」 昨年11月のオマーン戦で警告を受けた遠藤を下げることで、不慮のイエローカードをもらって次節で出場停止となる事態も避けられた。さらに久保を軸にすえた4-2-3-1もあると示したことは、サウジアラビアに日本対策を練らせにくくする。